履歴書の志望動機の書き方|書き始めに使えるフレーズ・例文あり
目次
採用担当者が見ている履歴書の志望動機の3つのポイント
採用担当者は、履歴書の志望動機を確認することによって、どのような観点から何を判断しているのでしょうか。採用担当者が確認しているポイントを採用の専門家に伺いました。
粟野友樹
Seguros(組織人事コンサルティング)、国家資格キャリアコンサルタント
筑波大学大学院(野外教育)を修了後、人材業界等での営業やキャリアアドバイザーを約15年経験。
2018年にSeguros(組織人事コンサルティング)として独立。延べ20社の社外人事としての中途・新卒採用支援や、リクナビNEXT「転職成功ノウハウ」等の転職系記事の監修を担当。
1.入社意欲があるか
採用担当者が履歴書の志望動機で見ているのは、第一に「入社意欲」です。何に興味をもち、なぜ入社したいのかを見ることによって、入社意欲の高さを推察することができます。
そのため、他社にもあるような特徴を志望動機で挙げていた場合、「うちじゃなくてもいいのでは・・・」と入社意欲に疑問を抱かれてしまう可能性があるので注意が必要です。
2.長く働いてもらえそうか
多くの企業は、採用した人材に長く働いてもらいたいと考えています。
応募段階でしっかりと企業を調べて特徴や社風などを理解していれば、入社後のミスマッチも生じにくくなります。ミスマッチが少なければ、定着性を期待してもらうことができるでしょう。
3.入社後の活躍可能性があるか
強い入社意欲があり企業を深く理解していれば、納得して入社しているため入社後に活躍してもらえる可能性が高くなります。
さらに、応募する仕事とこれまでの経験・スキルに共通点があれば、より活躍可能性が高まるでしょう。
志望動機の基本的な構成
これから志望動機を考える場合は、基本的な構成を理解しておくと作成しやすくなります。構成の3つの要素をもとに、自分らしさが伝わる志望動機を作成しましょう。
1.結論となる志望動機
採用担当者は、数多くの応募書類に目を通しています。回りくどい文章にしてしまうと、短時間のうちに採用担当者からの関心を集めることができません。
志望動機の冒頭で、なぜ志望したかの理由を端的に伝えましょう。
例)「貴社の◯◯事業の成長に貢献したいと考え、志望いたしました」
2.志望動機の背景・根拠となるエピソード
1で伝えた志望理由の背景や根拠となるエピソードを続けます。
根拠はできれば主観や感覚的な内容ではなく、具体的なエピソードを交えると説得力が増し、採用担当者がイメージしやすくなるでしょう。
例)近年はデジタル化・効率化される傾向にある◯◯のサービスですが、貴社の理念である「一人ひとりに寄り添う」というメッセージと◯◯事業の方向性に共感しています。実際に周りには高齢化社会を迎えてデジタル化に対応できない方が多いですが、寄り添いサポートすることで理解していただけたことがあり、その重要性を実感しました。
3.1・2を踏まえた自身の活躍イメージ
締めくくりとして、入社後の活躍イメージを伝えます。
履歴書では企業から応募する仕事の具体的な内容などを聞いていない段階なので、もし求人を見ても具体的な仕事内容がつかめない場合は、無理に活躍イメージを記載する必要はありません。自身が貢献できると考えることを記載しましょう。
例)現職ではカスタマーサクセスを通じて、顧客との関係性構築に努めてまいりました。これまでの経験を活かして顧客満足度を高め、事業成長に携わりたいと考え志望いたしました。
志望動機を書く際に押さえるべき4つのポイント
履歴書の志望動機を書く際に、理解しておきたいポイントを4つご紹介します。
ポイント1:長さは200~300文字程度、面接にて口頭で説明して1分程度
履歴書の志望動機欄はスペースに限りがあるため、200~300文字程度に収めるのが基本です。
面接では履歴書の内容に多少の補足を入れて、1分程度の長さで伝えられると理想的です。
ポイント2:志望する企業について書くときは「貴社」、口頭で話すときは「御社」
応募企業を指す言葉は、書類上は「貴社」、口頭で伝えるときは「御社」と使い分けるのが一般的です。
なお、銀行の場合は「貴行」、教育機関の場合は「貴校」、医療機関の場合は「貴院」などと表記するケースもあります。
ポイント3:その企業だからこそ言える志望動機を記載する
採用担当者は志望動機を通じて企業研究ができているか、入社意欲が高いかを確認しています。
他の企業にも言えるような志望動機を伝えてしまうと、「調査不足では」「意欲が低いのでは」という印象になってしまう可能性があります。志望動機はできるだけ応募企業ならではの内容を意識しましょう。
ポイント4:結論から記載をする
結論を最後にもってきてしまうと、全文を読まないと志望動機で伝えたいことを理解してもらえません。
履歴書や職務経歴書は「自分という人材を応募企業にプレゼンテーションする書類」と捉えて、できるかぎり読みやすい内容を心掛けましょう。
【専門家に聞いてみた】志望動機を書くためにやるべきこと
履歴書の志望動機を書くために、準備しておきたい2つのことを専門家に伺いました。
どちらも、履歴書の志望動機だけでなく、面接で聞かれやすい転職理由などにも活かすことができるので、この2つは必ず準備しておきましょう。
1.自己分析
履歴書の志望動機に限らず、転職活動を始める場合は自己分析を行っておきましょう。
自己分析を通じて自分の強みや得意分野を明らかにすることは、転職の方向性を決めるために重要な作業です。転職の方向性は、志望動機や転職理由などと一貫性があるかを確認しておきましょう。
自己分析の代表的な手法:キャリアの棚卸し
過去のキャリアを振り返り、時系列に書き出して成果を出したことや褒められたことなどを洗い出していきます。自分が得意とする分野・スキルや強み・弱みなどを整理することができるでしょう。
自己分析で整理した過去の経験・スキルは、職務経歴書を作成する際にも役立ちます。一人で整理するのが難しい場合は、転職エージェントに相談するという方法もあります。
2.業界分析・企業研究
業界分析や企業研究を通じて、応募企業の魅力を言語化します。業界におけるポジションや応募企業ならではの強みを明らかにして志望動機につなげられると理想的ですが、履歴書を作成する段階で1社1社企業研究を念入りに行うのは難しいかもしれません。
仕事と並行して転職活動をしているなど、応募企業ごとに企業研究を深める時間がない場合は、書類選考後の面接までに志望動機を語れるようになっていれば問題ありません。履歴書の段階では、次項でご紹介する書き始めや締めくくりフレーズ例を参考に、端的に志望動機をまとめるようにしましょう。
志望動機に使える書き始め・締めくくりフレーズ例
志望動機の書き始めと締めくくりのフレーズ例を専門家に伺いました。参考にすると志望動機作成が進めやすくなるでしょう。
書き始めフレーズ:パターン1
経験・スキルを応募企業で活かせることをアピールするフレーズです。応募企業の仕事内容との接点を意識することが重要です。
書き始めフレーズ:パターン2
「貴社の◯◯事業の成長に貢献したいと考え、志望いたしました」
応募企業の事業に成長性や興味を感じている場合のフレーズです。例えば「現職では新規営業に携わり、事業拡大とともに自分も成長したいと考えておりました」など、裏付けとなるエピソードを交えると説得力が増すでしょう。
書き始めフレーズ:パターン3
応募企業の事業内容に共感している場合のフレーズです。このフレーズは任される仕事が明確になっている求人に応募する場合に使いましょう。
応募者の経験・スキルや習熟度に応じて任せる仕事が異なる未経験者歓迎の求人や、適性によって配属先が異なる総合職の求人では、面接で経歴や希望などを確認しながら入社後に任せる業務を判断する可能性があります。
こうした求人に対して、履歴書提出の段階で仕事内容に言及してしまうと、「志望動機とは違う仕事を任せた場合、意欲が下がってしまうかもしれない」と、採用担当者に不安を与えます。経験・スキルによって入社後の業務が異なる求人の場合は、履歴書の志望動機の段階で仕事内容に言及するのは避けましょう。
締めくくりフレーズ:パターン1
どのようなキャリアでも入社意欲や前向きな姿勢を伝えることができる、汎用性の高い締めくくりフレーズです。
締めくくりフレーズ:パターン2
パターン1よりも具体性の高い締めくくりフレーズです。
即戦力となる経験者採用の場合は、具体的なキャリアの展望や入社後に実現したいことを締めくくりに交えると、説得力が増すでしょう。
締めくくりフレーズ:パターン3
未経験で応募する場合は、「応募企業に貢献したい」と志望動機で言い切ることが難しいケースもあります。経験・スキルをアピールしにくい場合は、締めくくりで学ぶ姿勢を見せることで、前向きな意欲を伝えることができるでしょう。
【専門家に聞いてみた】ネガティブに捉えられる志望動機とは
採用担当者から見てネガティブな印象となる志望動機はあるのでしょうか。専門家に聞いた代表的な5つのケースをご紹介します。
1.志望意欲や根拠が曖昧すぎる
「企業研究をしていないのでは?」と感じられるような、曖昧な志望動機は採用担当者の印象に残りにくくなります。文章として巧みであるよりも、志望動機はできるだけ自分の言葉を使ってリアリティーが伴う方が説得力は増すでしょう。
2.条件を重視しすぎている
年収や福利厚生など、応募企業の条件のみを重視するような志望動機は、経験・スキルとの共通点がわからず入社後の活躍可能性をイメージすることができません。
また、「条件が変わったらすぐに辞めてしまうのでは?」と定着性にも不安を感じる可能性もあります。企業選びに条件はとても重要な要素ですが、履歴書で条件ばかりを伝えるのは控えるようにしましょう。
3.「学ぶ」スタンスが強すぎる
学習意欲は重要ですが、入社の動機が「知識を身につけたい」「経験・スキルを磨きたい」ということに終始してしまうと、独りよがりな印象を与えてしまいます。
志望動機では、入社後に貢献できることや実現したいことを伝えて、「ぜひ入社してもらいたい」と感じてもらえるような内容にするといいでしょう。
4.他の企業にも言える内容である
志望動機は、できれば応募企業ならではの理由にできると理想的です。
特に、数多くの企業が進出している領域やサービスに関する魅力を伝えた場合、採用担当者が「他の企業にも応募しているのだろうか」「なぜうちの企業を選んだのだろう?」と疑問を感じてしまいます。
業界・企業研究不足と捉えられる可能性もあるので、事業やサービスを志望動機に挙げる場合は、応募企業の業界でのポジションや競争優位性などを調べておきましょう。
5.感覚的な志望動機のみとなっている
企業や商品・サービスのブランドに共感している、興味をもっているという志望動機は、誰でも言いやすく根拠に欠けるため、効果的な志望動機としては不十分です。
例えば、「○○サービスの中で△△機能をもつのは貴社のみであり、ユーザーファーストの姿勢に共感している」など、競合他社と比べてどのような点に興味をもっているのか、なぜ共感しているのかを根拠を交えて伝えるようにしましょう。
【専門家に聞いてみた】シチュエーション別:意識したい志望動機のポイント
採用担当者が志望動機で判断しているポイントについて専門家に伺いました。応募者のシチュエーション別に解説します。
未経験の場合
未経験なりに、できるかぎり業界や企業、仕事内容を調べて理解しようとしているのかを確認しています。
理解していない状態で専門用語を使うと逆効果になる可能性があるので、知らない業界や職種について言及する場合は注意が必要です。志望動機でこれまでの経験との共通点がアピールできている場合はプラスの評価となる可能性もあるでしょう。
業種を変えてまた戻ってくる場合
例えば、「IT業界から人材業界に転職し、再度IT業界に戻る」など、業種を変えてもとの業種に転職をする場合は、戻ろうとしている背景や納得度、具体性をチェックしています。
異業種に転職したことで得たことや気づきが、戻ろうとしている業種で活かせる内容になっているとさらによいでしょう。
第二新卒の場合
第二新卒は社会人経験が浅いため、転職理由やキャリアプランとの一貫性があり、納得度の高い内容になっているとよいでしょう。
第二新卒はポテンシャルも重視されるため、「○○に携わりたいと感じ転職を考えました。△△などの勉強会に参加し自主学習を行っています」など、伸びしろや成長意欲を感じさせる志望動機になっていると理想的です。
新卒の場合
新卒の場合は、社会人経験がないためモチベーションやポテンシャルを評価されます。
応募企業を志望する理由を、学業や部活、インターンシップやアルバイトなど、これまでの活動との接点を軸に具体的に伝えられるといいでしょう。
よくある志望動機に関する質問
志望動機に関するよくある疑問についてお答えします。
Q.面接での志望動機と、履歴書での志望動機は一緒でもよいのですか?
A.同じ内容で問題ありません。
異なる内容にしてしまうと、採用担当者が「どちらが正しいのだろうか?」と戸惑ってしまいます。面接での志望動機と、履歴書での志望動機は同じものにしましょう。
履歴書は文字数が限られているので端的に伝え、面接ではエピソードを具体的にするなど、履歴書の内容を補足できるといいでしょう。
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