薬剤師の平均年収は?年齢・職種・都道府県別比較と年収アップのコツ
1.【薬剤師の平均年収】はいくら?
厚生労働省が行う「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の平均年収は561万円。男性薬剤師は600万円、女性薬剤師は535万円と言われています。
年 | 男女平均 | 男性 | 女性 |
---|---|---|---|
2019年 | 561万円 | 600万円 | 535万円 |
2018年 | 543万円 | 574万円 | 524万円 |
2017年 | 543万円 | 575万円 | 525万円 |
薬剤師の平均年収は増加傾向にある
年次ごとに見てみると2019年は跳ね上がっているように見えますね。
実は、この調査対象者の平均年齢2018年が例年より若く、2019年は例年より上がっています。そのため平均年収が跳ね上がって見えるのです。
とは言え2007年もふまえると、薬剤師の平均年収が増加傾向にあることは間違い無いでしょう。
ただし、薬剤師の年収は働く場所・時期によって大きく変わります。
以下で『職場・職種』『都道府県』『医療事業者』『年齢』別に平均年収をまとめているので、ご自身に1番近い状態で比較してみてください。
2.【職場・職種別】薬剤師の平均年収ランキング
薬剤師の職場4つの平均年収を比較すると以下になります。
- 企業(製薬など):400~1,000万円以上
- ドラッグストア :500~1,000万円
- 調剤薬局 :450~800万円
- 病院 :380~700万円
この表は役職や職種を加味しない年収額です。一方で、同じ職場で働くにしても、どのような職場にどのような役職で就くかが、薬剤師の年収を決めるポイントになります。
↓大手薬剤師専門人材紹介会社にヒアリングした情報を元に作成
【年収1位】企業
職種/役職 | 望める年収 |
---|---|
薬事・学術 | 400~800万 |
品質管理 | 480~750万 |
CRC・CRA | 500~800万 |
MR | 500~1000万 |
研究開発 | 500~1000万以上 |
もっとも高収入を狙えるのは企業薬剤師です。医師を相手に医薬品を営業販売するMRなら年収1000万円以上狙えます。
【年収2位】ドラッグストア
職種/役職 | 望める年収 |
---|---|
一般職 | 500〜600万 |
管理薬剤師(店長) | 550〜700万 |
エリアマネージャー (本社管理職) |
650〜1000万 |
近年のドラッグストアの店舗増設に伴い、薬剤師の人員確保のため高い給与が支払われる傾向にあります。
管理職になると店舗の売上が自分の評価につながってきます。年収を上げるには、「どうすれば売り上げが上がるか」など経営者の視点が必要になってきます。
【年収3位】調剤薬局
職種/役職 | 望める年収 |
---|---|
一般職 | 450〜550万 |
管理薬剤師 | 500〜650万 |
エリアマネージャー (本社管理職) |
550〜800万 |
調剤薬局は新卒で比較的高年収をもらえるのが特徴です。一方で、一般職として同じ職場で働き続けると年収550万円前後で頭打ちになってしまう傾向があります。
年収を上げるにはキャリアアップや転職が必要となります。
【年収4位】病院
職種/役職 | 望める年収 |
---|---|
一般職 | 380万 |
調剤主任 | 500万 |
薬剤部長 | 600~700万 |
新卒・中途問わず「やりがい」を求める薬剤師に人気な病院は他の職場に比べて給与が低い傾向にあります。なぜなら、給与を上げなくとも応募が埋まってしまうからです。
年収を上げるには、認定薬剤師や専門薬剤師の資格を取りスキルアップすることが必要です。
3.【都道府県別】薬剤師の平均年収ランキング
職場だけでなく、都道府県が違うだけでも年収に大きく差がつきます。 薬剤師の年収の全国平均は543万円です。
薬剤師の年収は都市部より地方の年収が高い傾向と言えるでしょう。その理由を見ていきましょう。
地方はなぜ年収が高いのか
年収3位の青森県を例に見てみましょう。青森県は薬局や病院の数は全国平均を上回っているのに対し、薬剤師が全国平均に比べてかなり少ないのがわかります。
人口10万人あたりの→ | 薬剤師数 | 薬局数 | 病院数 |
---|---|---|---|
青森県 | 143人 | 46店 | 7.2軒 |
全国平均 | 181人 | 45.1店 | 6.6軒 |
つまり、青森県は薬局や病院数に対し薬剤師が不足している状態と言えるでしょう。
このように薬剤師不足の地方では、労働力確保のため給与額を高く設定されていることが多いのです。
地方でも年収が低い地域があるのはなぜか
一方、地方の中でも年収が全国平均より下回る都道府県も存在します。 平均年収が全国45位の石川県をみてみましょう。
人口10万人あたりの→ | 薬剤師数 | 月間労働時間 |
---|---|---|
石川県 | 178.5人 | 168時間 |
全国平均 | 181.3人 | 178時間 |
石川県も薬剤師の数は全国平均に比べて少ない一方で、労働時間は全国ワースト2位の少なさとなっています。
つまり石川県は労働時間の少なさによって年収が低くなっていると言えるでしょう。
地域によって300万円以上の差がある
平均年収トップの奈良県と最下位の三重県では、なんと340万円ものギャップが存在します。
上記で見てきた通り、高年収・低年収にはそれぞれ理由があるのです。
年収アップを狙って地域に転職する場合は、転職エージェントに聞くなどして地域の特徴を見極める必要があるでしょう。
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4.薬剤師が年収をアップさせる方法とは
ここまでの平均年収をみてきて「もっと自分の年収あげられたらいいな」と思った方もいるのではないでしょうか?
薬剤師が年収を上げる方法は大きく分けて4つあります。メリット・デメリットと合わせて紹介しましょう。
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
昇進 | 同じ職場で勤続可 | 即効性・確実性△ |
資格取得 | 生涯年収UPかも | 時間や費用のコスト |
副業 | 確実性あり | 体力面で負担 |
転職 | 労働条件も改善 | 職場が変わる負担 |
薬剤師の年収アップには「転職」がおすすめ
以上の中でもおすすめは「転職」することです。
ネグジット総研との共同調査(2019年実施)によって、なんと転職した42%の薬剤師が年収を上げることに成功していることがわかりました。また、その年収アップ額は平均77万円です。
年収比較で見てきた通り、働く職場や地域を変えるだけで、年収は大きく変わってきます。
今の年収に不満を持っている方は一度転職を検討してみてはいかがでしょうか?
薬剤師が高年収求人を見つける最短方法は
転職を検討する場合は薬剤師転職サイトのエージェントを利用することをおすすめします。
エージェントはあなたに変わって希望の職場を探してくれるため、職場を変わる際に生じる労力や負担を軽減してくれるのです。
また、エージェントは一般には公開されない好条件の求人(非公開求人)を教えてくれます。
高年収の求人は非公開にされていることが多いため、エージェントを使うことでより確実に転職による年収アップを見込めるでしょう。
転職エージェントを選びで見るべきポイント
年収アップを狙う場合は以下の項目に着目し、薬剤師転職エージェントに登録することをおすすめします。
- 高年収求人数
- 高年収求人数が多いほど、年収以外の希望条件も出しやすくなります
- 求人紹介のスピード
- 高年収の求人は人気が高くすぐ埋まってしまうのでスピード感が大事になります
- 条件交渉力
- 条件交渉力が強いほど、給与額を引き上げてもらえる可能性が高まります
転職 サイト |
高年収 求人数 |
スピード | 条件交渉力 |
---|---|---|---|
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5.派遣薬剤師が「短期間で年収UP」へ一番の近道
ここまで読んで、「年収を今すぐ上げる働き方はなんだろう?」と思う薬剤師には「派遣」として働くことをおすすめします。
派遣薬剤師の求人は時給3,000円を超えるものがほとんど。一方、薬剤師の平均年収を時給換算すると2,600円程度。
派遣薬剤師が短期間で稼げる理由は、この「圧倒的な高時給」にあるのです。場合によっては正社員よりも高い給料で働けます。
派遣薬剤師の年収をシミュレーションしてみた
派遣薬剤師として働いた場合、年収はどれくらいになるのでしょうか。時給3,500円として実際にシミュレーションしてみました。
- フルタイムで「ガッツリ稼ぐ」
- 本業の合間に「プラスで稼ぐ」
時給3,500円×8h×週5日=年収672万円
時給3,500円×3h×週2日=年収100万円
フルタイムで働いた場合、正社員でも到達が難しい年収ラインを軽々と超えています。
派遣薬剤師として働くのに特別な資格が必要なわけでもないため、手っ取り早く稼ぎたいという薬剤師にはピッタリの働き方です。
【時給4,000円越】高年収を狙える派遣求人
実際、大手の薬剤師転職サイト「ファルマスタッフ」で派遣薬剤師の求人検索をしたところ、時給4,000円を超える求人が600件以上見つかりました。以下は一例です。
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高時給な派遣には裏がある?
しかし「こんなに時給が高いのには裏があるのでは?」と派遣薬剤師に抵抗がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
派遣薬剤師が高時給な訳は「即戦力を期待しているから」です。
派遣の募集は慢性的に人手不足な職場で多くかけられます。店側は高い人件費を払ってでも即戦力となる薬剤師を雇い、人手不足を解消したいという思いがあるのです。
その他にどんなデメリットや注意点があるのか等詳しく知りたい方は、派遣薬剤師についてまとめた記事があるので是非読んでみてください。
6.薬剤師が生涯年収を上げる方法とは
「転職はまだ自分にとってハードルが高い…」「今すぐでなくとも生涯、高年収でありたい」
そんな薬剤師の方には「資格取得」をおすすめします。
近年、かかりつけ薬剤師制度や健康健康サポート薬局制度の開始したり、チーム医療が重視されるなど、薬剤師の役割は多様化し、専門性を求められています。
今の時代において専門性を証明する資格を取得することは重要であり、薬剤師として将来の選択肢を広げることにつながると言えるでしょう。
将来につながる薬剤師の資格とは?
薬剤師の資格は様々にありますが各領域の認定薬剤師、専門薬剤師は今後のキャリアに良い影響を与えるでしょう。
領域ごとで違いはあるものの、基本的には一定の経験と高い知識が必要になります。また、学会発表や論文発表が必要な領域もあり、総じて難易度が高い資格であるといえます。
薬剤師の資格例
特に今後はがんや緩和ケア、在宅医療といった領域のニーズが高まっていくと考えられます。その領域の認定・専門薬剤師は高く評価をされ、将来の年収にもつながるはずです。
認定・専門薬剤師に関してもっと詳しく知りたい方は下記の記事も併せて読んでみてください。
7.薬剤師が「年収1000万を目指す」3つの方法
ここからは「年収は1,000万を目指したい!」と思う薬剤師の方に向けて方法を紹介していきます
1)地方薬局・ドラッグストアで管理職として勤務
地方、特に過疎地における薬剤師不足は深刻で、薬剤師をノドから手が出るほど欲しがっています。
そのため一般的な役職でも年収600~700万の求人が多いですが、過疎地で管理薬剤師や店長クラスになることで年収1000万円を十分に狙うことができます。
2)CRA(臨床開発モニター)にチャレンジ
CRA(臨床開発モニター)は年収が高く、薬剤師が現実的にチャレンジできる仕事です。
特に大手企業であれば将来的には年収1000万到達も狙えます。ただし未経験から挑戦できるのは30歳前半までです。
若手の薬剤師でCRAに興味がある方は、早めにエージェントに相談しましょう。
3)個人薬局を開業する
年収1000万円どころか、1500万円以上を目指せるのが個人薬局の開業です。
「立地選び」が高収入を得るためのポイントになりますが、病院のそばに門前薬局をオープンできれば薬局経営者として高収入を得られるでしょう。
しかし近年は薬局の数も増え、診療報酬も複雑化しています。昔にくらべ薬局経営は難しくなり、経営手腕も求められています。しっかりと、リスクを考えた上で挑戦しましょう。
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口コミ|年収UPを狙って転職した薬剤師さん
では本当に、転職サイトを利用して転職すると年収が上がるのでしょうか?
「年収UPを狙い、転職サイトを利用して転職した薬剤師」の方々にアンケートを行いました。
調剤薬局(大阪)から調剤薬局(大阪)に転職しました。
エージェントが薬局側に年収の希望を交渉してくれたので、希望にそった転職をすることができました。
調剤薬局(東京)からドラッグストア(埼玉)に転職しました。
調剤薬局で働いていた時はそれなりの年収をいただいていたので、それからドラッグストアに転職しても年収が下がらなかったのは転職エージェントの方が良い転職先を探してきてくれたおかげです。
病院(東京)から調剤(東京)に転職しました。
転職サイトを利用したおかげで、転職エージェントを無料で利用でき、条件をしっかりと聞いてくれました。条件通りの求人を提案してくれるので助かりました。
実際に年収が上がった人もいる一方で、変わらなかった人もいるみたいですね。
これは、年収以外に求める労働条件の多さによって変わってきます。しかし、薬剤師さんにとって年収だけでなく働く環境も大事ですよね。
転職エージェントを味方につけて「条件をどこまで増やすと、年収が上がりにくくなってくるのか」相談しながら転職先を決めてはいかがですか?
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8.【薬剤師・医師・看護師】平均年収グラフ
今まで薬剤師のみに焦点を当ててきましたが、同じ医療業界の中での薬剤師の年収の立ち位置はどのようになっているのでしょう。
まず医師・看護師・薬剤師に絞って、年齢ごとの年収推移を比較してみましょう。
※このグラフは全て男性の平均年収です。
薬剤師の平均年収は新卒時から年々上がってゆき、45〜49歳でピークを迎えます。グラフから医師や看護師に比べて年収のピークが比較的早い年齢で迎えてしまうことがわかりますね。
医療業界内での年収における薬剤師の立ち位置
そのほかの医療従事者と比べてみるとどうでしょう。
職種 | 男性平均年収 | 女性平均年収 |
---|---|---|
医師 | 1,089万円 | 923万円 |
歯科医師 | 663万円 | 466万円 |
薬剤師 | 554万円 | 504万円 |
看護師 | 452万円 | 443万円 |
診療放射線・ 診療X線技師 |
476万円 | ー |
臨床検査技師 | 454万円 | 411万円 |
理学療法士 | 407万円 | 382万円 |
薬剤師の年収は医療業界の中で高い方と言えるのではないでしょうか。
実際に男性は医師・歯科医師につぐ年収であり、女性は歯科医師よりも高い年収です。
生涯年収は高いものの、年収のピークが早い薬剤師はキャリア形成が大事と言えそうですね。
9.【男女・年齢別】薬剤師平均年収推移グラフ
キャリア形成をするには男女ともにどのタイミングでいくらでピークがきてしまうのか把握しておく必要があるでしょう。
薬剤師の年収と年間賞与の推移
薬剤師は20代でも400万円以上と高い年収を得ることができます。男性薬剤師は40代前半で725万円程度でピークが、女性薬剤師は50代後半で615万円程度でピークを迎えるようです。
男性と女性でピークの時期が異なるのは、女性は30代から40代前半まで育児で一時的に正社員を外れるケースが多いためです。正社員のみで考えてみると、女性も男性と同じく40代前半にピークが来る可能性が高いといえます。
なぜ薬剤師の年収ピークは早いのか?
薬剤師だけ年収ピークが早い理由はキャリアが年収に反映されにくい職種だからです。
医師や看護師は、どのような医療機関でどのような治療に関わってきたか、つまりこれまでのキャリアによって大きく年収が変わります。
例えば大学病院などで高度な医療に関わっていれば、それだけ将来的な年収アップにもつながります。
しかし薬剤師は、処方せんに基づいて正しく調剤するなど「対物業務」が主に求められるため、スキルに差がつきづらく、キャリアを評価することが難しいのです。
これからの時代の薬剤師はキャリア重視!
しかし近年、患者との関わりを大切にする「対人業務」を薬剤師は求められるようになってきているのです。
具体的には、かかりつけ薬剤師制度(2016)や健康サポート薬局制度(2018)が開始されました。
さらに2020年には、薬局の機能によって「通常の薬局」「地域密着型」「高度医学管理型」の3つに分けることが予定されています。
これにより薬剤師の役割は多様化していきます。地域密着型や高度医学管理型の薬局を経験している薬剤師の方が、重宝されるのは間違いないでしょう。
生涯年収をアップさせるためにも、早いうちからキャリア形成を意識しておくことが重要です。
薬剤師の将来性について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事もぜひチェックしてみてください。