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明治薬科大学の附属薬局「めいやく」は、同学の薬学生が現場力を育むための教育施設です。
薬物治療に責任を持てる薬剤師の教育、そして創薬から育薬まで幅広い領域で活躍できる薬学人の養成を掲げる明治薬科大学。その実践のために「めいやく」はどのような役割を果たしているのでしょうか。
詳しいお話を学長の越前 宏俊さんに伺いました。
越前宏俊(えちぜん ひろとし)さん
明治薬科大学学長
昭和53年北海道大学医学部卒業。国立病院医療センター(現、国立国際医療研究センター)で研修後、米国とドイツに留学。
国立栄養健康研究所、北里大学医学部薬理学を経て平成7年から明治薬科大学教授に就任。医療薬学、特に薬物治療学の教育を担当。
令和2年4月より現職。
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教育を目的とした日本初の大学付随事業施設
ーまず「めいやく」設立の背景と目的を教えてください
平成18年(2006年)から薬剤師を目指す学生の大学教育が6年制になりました。6年制教育の第一期生は、平成22年(2010年)から5年生で行われる病院と薬局でのそれぞれ11週間の実務実習が開始されました。本学では、薬局での実務実習を大学自らが率先して実施することを目的として、教育研究活動に関連する大学の付随事業として附属薬局「めいやく」を平成26年(2014年)2月に設立しました。
本学では薬剤師養成を目的とする薬学教育が6年制に移行した平成18年(2006年)に、薬剤師を養成する6年制の薬学科と、研究者・技術者を養成する4年制の生命創薬科学科の2学科を併設することにしたのです。
その際、両学科の特色を明確に打ち出すべく、薬学科の教育カリキュラムを「薬剤師の養成」に特化しようと決めました。そして将来の薬剤師像と育成方法について考えた結果、附属薬局を通じた教育を提供しようという流れに至ったのです。
「めいやく」は、薬学生の教育を第一の目的に置いています。学校法人が教育研究に密接に関連する付随事業として文部科学省から薬局開設の認可をとったのは本学が初めてです。その点が、他の大学の附属薬局の設置趣旨と異なるところです。
大学の付随事業として今日まで歩みを進めています。
ー「めいやく」の特長はどういった点にあるのでしょうか?
大学の附属教育施設であることから、将来の地域薬局のあり方を見据えて、特長のある設備を備えています。
一例として無菌調剤室の設置が挙げられます。「めいやく」を設置した当時から日本の医療は政策的に在宅医療が推進されて来ました。将来的に病院や地域医療機関との連携した在宅医療が進んで行けば、無菌的調剤が必要な処方箋を薬局で応需する頻度が増加することが予想されたのです。「めいやく」の無菌調剤室は、地域の保険薬局の方々にも利用して頂いて(共同利用)地域貢献も兼ねたいという想いもありました。
また「めいやく」では、保険薬局が担う事ができる業務はすべてできるよう届け出ています。附属薬局で実習をすれば、薬局で行なう業務や取組みは一通り経験できますよ。 これらは営利よりも教育を目的に置いている「めいやく」だからこそ実現できていることではないでしょうか。
ー教育施設としてのみならず、地域貢献の意味も兼ね備えているんですね
はい。「めいやく」は、かかりつけ薬剤師・薬局の機能に加えて、市販薬や健康食品に関すること、介護や食事・栄養摂取に関することまで相談できる「健康サポート薬局」の認定も受けています。
地域住民の方々の健康をより幅広く、積極的にサポートします。
そのために、利用者の健康状態(血糖やコレステロールなど)をチェックすることができる検体測定室の認可を受けた設備を設けております。
また地域の住民の方々、医師・看護師の方々の生涯教育活動などに貸出可能な会議室(3階)や、薬学生が地域貢献を目的とした活動のために使えるイベントスペースも用意しています。「めいやく」では担当薬剤師の指導のもと、本学の学生たちが地域の皆さんに薬の情報を提供したり、お薬手帳の使い方などを紹介する活動もしているんですよ。
このように、大学の教育施設ならではの取組みを積極的に行うことで、患者さんが気軽に足を運べる場所となり、地域貢献の一端を担えればと考えています。
「めいやく」が担う役割と今後のビジョン
ー「めいやく」を実際どのように大学の教育に活用しているのか教えてください
1年生から6年生まで幅広い学年の薬学生の教育に活用しています。
たとえば1年生の早期体験実習の受け皿として見学に活用したり、5年生の薬局での実務実習にも活用しています。ただし、「めいやく」で実務実習を行う学生は全て関東地区調整機構から依頼されるシステムですので、本学の学生だけでなく他の薬科大学の学生の実習も広く受け入れています。
また、「めいやく」では卒業後に薬局への就職を希望する学生を対象に、本学が実施している特別カリキュラムに基づくアドバンス実習も行っています。
ー今後「めいやく」はどのように発展していくのでしょうか?
世の中が大きく変わるなかで、薬局が担うべき役割も変化しています。
現在、政策的に医療の場が病院やクリニックだけでなく、住み慣れた地域・自宅を含む地域包括ケアシステムへと移行されつつあります。また、セルフメディケーションも推進されています。その過程で薬局は病院やクリニックの医師や看護師と連携して地域包括ケアシステムを積極的に支えることが求められるでしょう。
2021年度には薬局の機能分化を目指した認定制度「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」も導入される予定です。
「めいやく」は健康サポート薬局からさらに一歩踏み込み、臨床薬剤師の養成と地域貢献を両立する地域連携薬局としてアップデートしたいと考えています。
学生の「気付き」をめざす教育
ー最後に、明治薬科大学が目指す「薬剤師のあるべき姿」を教えて下さい
本学は明治35年(1902年)の設立の際、創学者・恩田重信先生の想いである「薬学の普及と社会に有用な薬剤師を養成し、医薬分業を実施し、もって国民の保健衛生へ貢献する」を建学の精神としています。すなわち、本学は「医薬分業の草分け」といえます。
以来、真の医薬分業を実現するために「世の中に役に立つ薬剤師を育てたい」という想いが教育の柱となっています。
薬を処方箋に従って調剤して終わりではなく、薬のプロフェッショナルとしてその後の効果や副作用のモニタリングまで薬物治療に責任を持てる「患者さんのための」薬剤師を育てたいという考えです。
患者さんの経過に寄り添い、薬局薬剤師であれば必要に応じて医師に状況を報告できる、また、病院薬剤師なら医師・看護師と三位一体となって医療を提供できる。そんな薬剤師を育成したいという想いが常にあります。
こういった薬剤師になるためには、薬の知識だけではなく、疾患の知識やコミュニケーション能力など幅広く学ぶ必要があるでしょう。 医療人として「モノ中心からヒト中心で考えられる薬剤師」を育てていきたいですね。「めいやく」もこの考えをもとに設立されました。
本学の教育を通じて、薬剤師が本来すべきことに気づき、病院や保険薬局の場で薬剤師ができることを増やして行けるような薬剤師を育てて行きたいと考えています。
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