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服薬指導から医師への処方薬の提案まで、患者の健康に幅広く携われるプライマリ・ケア認定薬剤師。現在、202名の「プライマリ・ケア認定薬剤師」が全国各地の保険薬局や病院などで活躍しています。
全国の薬剤師数31万人のうち、プライマリ・ケア認定薬剤師はまだまだ少ない状況です。少子高齢化が進む日本では、継続的に患者の健康をサポートする薬剤師と医療機関の連携が求められています。そのため、患者の薬物治療に深く関わるプライマリ・ケア認定薬剤師の存在が不可欠です。
認定取得の研修を実施している、一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会の理事であり薬剤師でもある坂口眞弓先生は、「今後、地域医療の担い手である薬剤師の価値がさらに高まっていく」と語ります。
坂口眞弓(さかぐちまゆみ)さん
日本プライマリ・ケア連合学会理事/プライマリ・ケア薬剤師認定制度委員会委員長。東京大学医学部附属病院研究生修了。その後、みどり薬局、みすじ薬局、ゆうま薬局を開設する。東京薬科大学客員教授。
▼インタビュー協力者
・小見川香代子(おみがわかよこ)プライマリ・ケア薬剤師認定制度委員会副委員長
・門下鉄也(かどしたてつや)プライマリ・ケア薬剤師認定制度委員会副委員長
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1.プライマリ・ケアとは
ー早速ですが、プライマリ・ケアとはどういった医療でしょうか?
プライマリ・ケアとは、疾患や年齢を問わず患者を総合的に診る医療のことです。普通は風邪を引いたら内科、蕁麻疹ができたら皮膚科というように、専門医がいる医療機関を受診しますよね。同じ疾患でも医師によって医療方法が異なり、症状が悪化するリスクも考えられる。
プライマリ・ケアを提供している病院なら、健康相談から緊急を要する手術までさまざまな問題を解決できます。つまり、医療機関を複数受診しなくて済むんです。 人口減少や高齢化など、日本の医療を取り巻く環境は刻々と変化しています。今後は、プライマリ・ケアを受けられる医療機関の需要がますます高まっていくのではないでしょうか。
2.プライマリ・ケアの5つの理念
ー次に、プライマリ・ケアの特徴でもある5つの理念について詳しく教えてください。
プライマリ・ケアを提供するうえで大切なのが、「Accessibility」「Comprehensiveness」「Coordination」「Accountability」「Continuity」といった5つの理念です。
まず「Accessibility(近接性)」は、病院へのかかりやすさ。「地理的」「経済的」「時間的」「精神的」といった、4つの面があります。通院しやすい、心の拠り所になれるなど、患者が気軽に相談できる存在であることが重要だという考えです。 患者の健康に幅広く対応するのが「Comprehensiveness(包括性)」です。病気や怪我の治療かららリハビリテーションに至るまで、総合的なケアを行うことも地域医療が果たすべき役割ではないでしょうか。
「Coordination(協調性)」とは文字通り、医療従事者や患者と良好な関係を築くことです。密なコミュニケーションは、チームワークの強化だけでなく健康問題の解決に繋がります。風邪だと思っていた発熱が実は、ストレスが原因の場合もある。仕事や家庭環境など、日常生活が体の不調を招いている可能性も十分に考えられます。 「Accountability(責任性)」は、プライマリ・ケア認定医に限らず全ての医療者に共通することではないでしょうか。医師や薬剤師の発言が、必ずしも患者の解釈と一致しているとは限りません。相手が理解できる言葉で丁寧に説明することで認識のズレがなくなり、患者に深い安心感を与えることができます。
地域の医療状況に合わせ、福祉や介護など多職種が連携した医療を提供し続けていく「Continuity(継続性)」が、プライマリ・ケアの要です。
ーありがとうございます。プライマリ・ケア認定薬剤師になるには、どうすれば良いのでしょうか?
まず、本学会が指定する10項目の講義または研修を50単位取得していただきます。その後、プライマリ・ケア専門医がいる医療機関で見学実習8単位を取得、筆記試験に合格してようやくプライマリ・ケア薬剤師の認定を受けられます。 また、認定資格を更新する際にも、本学会が主催する研修30単位以上の取得、事例報告(ポートフォリオ)5本の提出が必須です。
日々の業務と並行しながら認定資格を取得・更新するのは、並大抵のことではありません。加えて、受講費用も30万前後と高額です。先ほどお話した5つの理念が現場で活きてこそ、プライマリ・ケア薬剤師としての真価が発揮されるものだと思っています。そのために敢えて、ハードルを高く設定しているんです。
3.地域医療において今後、薬剤師が目指すべき姿
ープライマリ・ケア認定薬剤師の社会的価値は何だと思いますか?
地域に密着したかかりつけ薬剤師になれたり、介護や福祉に貢献できたり、プライマリ・ケア認定薬剤師としての社会的価値を感じる瞬間は人それぞれだと思います。共通しているのは、患者の健康に寄り添うということ。
多職種が連携しステージに応じた適切な治療、あるいは健康・栄養サポートを行うことで、患者が本当に必要としている的確な医療が提供できるようになります。かかりつけ薬局が目指す、地域に根付いた医療体制の実現にもつながるはずです。
ープライマリ・ケア認定薬剤師ならではのやりがいは何でしょうか?
やはり一番は、薬剤師としての存在価値を高められること。日本プライマリ・ケア連合学会主催の研修は、医師や看護師ほか多職種が一堂に集まります。普段は忙しくて関わる機会の少ない医療者同士が、職種の垣根を超えフラットに会話できる貴重な場です。
医師がどのように治療方針を決めているのか、看護師が何を考え患者と接しているかなど、相手の気持ちを考えるトレーニングにもなります。医療現場でも多職種と意見交換しやすくなり、相手のニーズに合ったベストな治療方法を提供できるのではないでしょうか。薬剤師としての自信にもつながるので、やりがいを持って楽しく働けると思います。
ー今後、薬剤師に求められることは何だと思いますか?
地域住民が安心して暮らせるよう、健康サポートを徹底することです。かかりつけ薬剤師制度の制定以降、薬袋の作成や在庫管理といった対物業務から、在宅医療や健康教室の実施など患者中心の業務に変化していますよね。多職種の連携を強め、医者や患者から信頼される存在になることで薬剤師としての存在意義が高まるのだと思っています。
ー最後に、此の記事を読む薬剤師にメッセージをお願いします。
「もっと患者の役に立ちたい」「地域貢献に貢献できる薬剤師になりたい」など、現状に満足できず悶々とした気持ちを抱えながら働いている方は多くいると思います。 認定薬剤師は簡単に取得できる資格ではありませんが、多職種とのネットワークができ地域医療にも参入しやすくなります。多職種と関わる中で得た気付きや学びを地域での活動に役立て、薬剤師としてのキャリアアップに繋げていただけたら嬉しいですね。
患者から頼られる薬剤師でありたい、地域医療に貢献したいという方は、一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会に問い合わせてみてください。
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