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こんにちは。けちゃおです。
新型コロナウイルスもピークを過ぎ、少しずつ普段の生活に戻ってきているところかと思います。まだ世界の感染状況を見ると安心はできませんが、このまま少しずつピークアウトしていくことを期待したいですね。
今回は、新型コロナに関するニュースも含め、3点の記事をピックアップして考察をしています。皆さんの生活や仕事にも関係するものもありますので、ぜひ読んでみてください。
※当サイトは口コミの一部を掲載しています。
薬大定員割れ 5割に迫る
ニュース概要
2020年度の全国の薬学部の入学に関して、実に45.9%の大学が定員割れを起こしていることが明らかになりました。
今年度は2つの薬学部が新設され、定員が増えたこともありますが、昨年度よりも定員割れの大学は増加しています。
大学ごとのばらつきも見られ、77校のうち定員以上となったのは40校あるのに対し、定員の90%以下となった大学も22校見られました。
薬読 2020/6/8
意見
薬学部の定員割れが続いています。今回は、定員割れとなる原因と、今後の見通しについて考えてみたいと思います。
私が現役の頃はちょうど4年制から6年制の移行期で、薬学部の新設ラッシュの時期でした。当時から「薬学部が増えすぎて、いずれ定員割れを起こす」とはいわれていましたが、やはり新設で実績の少ない大学は入学する人が減っているのだと思います。
個人的には、あまり実績のない薬学部に通うことはそれほどメリットがないと思います。その理由は、薬学部に入る=ストレートで薬剤師になれるというわけではないからです。実際、毎年全大学で12,000人ほどが薬学部に入学しますが、その中でストレートで国家試験に合格できるのは6割程度と言われています。大学によって差はありますが、留年率は30~35%と言われていて、各大学は「国家試験の合格率をあげるため」に、合格できないだろうレベルの人はどんどん留年させられてしまうからです。また、もし留年を避けられたとしても新卒の国家試験合格率は85%程度。卒業後に薬剤師になろうと思っていても国家試験に落ちてしまったら、もう一年間勉強をし直さなければならないのです。
ただでさえ私立では学費の高い薬学部で6年間も学費を払って、留年などしたら更にそれ以上のお金がかかります。それでも薬剤師として得られる年収はサラリーマンとそう大きくは変わりません。国家資格という強みはありますが、何か「薬学部に行きたい」という明確な目標がない場合は、わざわざ薬学部を目指す必要性はないのかなというのが私の考えです。
ただ、薬学部が増えること自体は業界の今後を考える上で良い事だと思います。各大学の入学状況を見てみると、地方の新設大学が特に定員割れの割合が多いと感じます。これは人口比率からも仕方のない事ではあると思いますが、地方部の薬剤師不足が危惧されている中、これまで薬学部のなかった都道府県にも新設されたということには大きな意味があります。
薬学部の新設ラッシュも落ち着いてきて、今後は薬学部の生き残りをかけた時代になっていくと思います。そもそも、少子化で18歳人口が減っていく中で、薬学部の定員を増やしたところで今後もすべて埋まるとは思えません。特に地方の薬学部は、他の薬学部よりも優れているところをアピールして、評価されることで今後の生き残りを模索していかなければならないと思います。
受験生へのアピールポイントの一つは、やはり国家試験の合格率でしょう。学生が薬学部を選ぶ際に最も重要視する項目だと思います。先ほど述べたように、国家試験の合格率を上げるために留年者数を増やすという手法をとっている大学は多いですが、私はそれよりも、国家試験に合格するための学力アップ、受験対策をしっかりしてくれる大学が増えてほしいと思います。
というのも、私が現役のころも、他大学の学生と交流した際に受験対策などの情報を交換していましたが、薬ゼミの始まる時期など国家試験対策に関しては大学によってかなりばらつきがありました。当然、対策がしっかりされている大学は留年者数も少なく、合格率も高くなっていました。つまり、全員の基礎学力が向上していたのです。「落第者は切る」というスタンスではなく、「落第者も薬剤師になれるようなカリキュラムを組む」ということは、優秀な薬剤師を育てるためにも必要だと思います。 もう一つは、実習施設の充実です。特に新設の薬学部は薬学の実習施設がなく、まともな実習ができないという大学もあるそうです。薬学部の学業は、座学と実習の2本立てです。座学は薬剤師としての仕事につながりますし、実習は研究者としての仕事につながります。この二つを充実させることが、大学として生き残るためにも必要なのではないかと思います。
4年制から6年制への移行、薬学部の新設ラッシュと近年薬学部を取り巻く事情は大きく変わりました。本来6年制へ移行したのは薬剤師の地位向上のためであったと思いますが、この記事を読む限り薬学部が人気の学部であるとは言えず、地位向上とは真逆の道をたどっているようで残念です。
薬学部の人気回復のためにも、各大学には教育体制を充実させて欲しいところですね。
世界で加速 新型コロナ論文 SARSの100倍
ニュース概要
文部科学省によると、世界での新型コロナに関する論文はここ4ヶ月で1万本にのぼるとのことです。2002年に中国で起きたSARSに関する記事は100本程度でしたので、約100倍になります。感染規模だけでなく、研究の高速化、デジタル化が進んだことも影響していると見られています。有効な論文は各国の感染対策にも活かされています。
AIなどを利用した分析も進む一方で、不正確なデータとの指摘を受け論文撤回となるケースも見られ、課題となっています。
日経新聞 2020/6/7
意見
新型コロナに関するニュースが日々続いていますが、ワクチンや治療薬などの研究は世界各国で続けられています。記事によると論文の数がSARS時の100倍とのことですが、SARSは総感染者数8,000人余り、新型コロナの現在の流行規模を考えるとその数の違いも当然かなと思えるところです。
SARSの起きた2002年よりも研究は高速化しており、また世界での情報共有もしやすくなっているのだと感じます。中には「マグロやブリに含まれるセレンという成分がコロナを弱毒化させた」といった、着眼点の面白い論文も発表されています。まだほとんどの論文が症例数が少なく、実用的なものが少ないのが現状ですが、これだけ多くの研究が世界中でされていると「有効な治療法が確立されるのも時間の問題なのでは」という期待が持てますね。ただ、情報があふれかえっている状況では、間違った情報が拡散する可能性も高く、注意が必要です。
コロナに関していえば、例えばイベルメクチンという抗寄生虫薬が効果があるという論文が発表され話題となりましたが、その後論文のデータの信頼性が疑われ、論文が取り下げられる事態となりました。他にも同様のケースは後を絶ちません。これだけの非常事態ですのでまずスピードありきなのは仕方のないことですが、どの論文、どの研究を優先させるのか、その判断が大切となっています。イベルメクチンに関しては、論文は取り下げられましたが北里大学で臨床試験を行うことが予定されています。論文が発表しやすくなったことで、他の研究施設が引き継いで研究を進めてくれる可能性もあるということは、論文が増えたことによるメリットの一つと言えるかもしれません。
論文の解析に関しては、AIの利用についても紹介されています。これまでは論文のAI解析についてはあまり注目されることはありませんでしたが、今回の新型コロナで多くの論文が発表されたことを受け、ファクトチェックをするAIツールも開発されてきています。
有事の際に科学技術は飛躍的な進歩を遂げると言われますが、論文精査の方法はこれから1年で大きく変わっていきそうです。
また、記事では日本発の論文が少ない事についても言及されています。日本の研究力が世界と比べて劣っているとも見れますが、そもそも流行の中心地であるアメリカなどとは症例数が比較にならないほど少ないので、単純に研究力の差だけではないと思われます。日本でも大学や大手製薬会社、バイオメーカーが治療薬、ワクチンの研究を行っています。日本人としては、日本から有効な治療薬やワクチンが開発されることを期待したいところですね。
新型コロナ治療 アバターロボが活躍
ニュース概要
正マリアンナ医科大学は、4月下旬から新型コロナ感染の患者が入院する病棟で遠隔操作ロボット「オムニロボ」を導入しました。ナースが病棟で仕事をする際には防護服の着用が必要ですが、時間がかかる上に防護服の数も多くありません。
人工呼吸器の監視や患者とのコミュニケーションといった場でロボットが活用されています。このほか、国内では約30台が導入されています。
日経新聞 2020/6/3
意見
ロボットに関する記事は以前もこのコーナーで紹介したことがありますが、コロナの影響で様々なロボットが役立つようになっています。特に、医療機関では今後も医療ロボットの重要性が増していくでしょう。
本記事で紹介されているオムニロボは、zoomのようなビデオ会議ツールが搭載された遠隔操作ロボットで、医療現場以外にも倉庫での在庫管理や従業員の見守りなどで活用されています。コロナ患者に対しては、往診など医療従事者と患者の感染リスクがある場面で活躍が期待されるだけでなく、患者家族との面会などの場でも有効なコミュニケーションツールになると思います。
医療現場は、コロナに感染するリスクが最も高い現場であると同時に、接触して治療しなければならないというジレンマを抱えています。ロボットで代用できる業務はロボットを用いて、というのは今回のコロナ対策として大変重要な考えだと思いますし、今回導入された医療機関は、今後も様々な感染のリスクを避けるために、ロボットを使用し続けていくことになると思います。
唯一の問題はコスト面でしょうか。現在は、オムニロボは医療機関に無償で提供されているようですが、本来は購入費用として40~60万円かかるものです。また、それ以外にランニングコストも考えなければなりません。人件費削減につながるという考えもありますが、操作する人が必要となりますので、その人が他の業務をできなくなってしまうようであれば、人件費削減にはあまり寄与しないのではないかと思います。
医療現場におけるロボットの導入は、「医療スタッフの仕事を奪う」ものではなく「サポートする」ものだと思っています。今回のコロナをきっかけに医療現場でもロボット導入が進み、簡単な業務はロボットに任せ、スタッフはより専門的な業務を集中して行えるようになる、そういった住み分けができるようになれば、医療スタッフの雇用が減ることもなく、医療の質を上げていくことが出来ると思います。将来はそういった医療体制を期待しています。
まとめ
いかがでしたか。今回は
- 薬学部教育
- コロナに関する論文
- 医療ロボット
という3つの記事からそれぞれの今後について考えてみました。
研究の場でも医療現場でも、コロナを契機として様々な変化が出てきていると日々感じます。
この状況を新たなビジネスチャンスと捉えて、自分に何かできることはないか考えてみるのもいいかもしれませんね。
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