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現在、HOP!薬剤師の記事を執筆させていただいているけちゃおと申します。私は薬学部卒業後、証券会社、製薬会社でそれぞれ営業を経験して、現在は調剤薬局にて薬剤師をしています。
業種が変われば仕事内容も大きく変わるものですが、中でも薬剤師という仕事はほかの仕事と比べるとあまりに違うことが多く、初めのうちは戸惑うことも多くありました。
ここでは、異業種から薬剤師業界に転職した私が感じた、薬剤師の特殊な点についてお伝えしたいと思います。
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他の社員と一緒に働く機会が少ない
私は薬剤師に就くまでに2つの業界で営業職をしていました。日中は大抵外回りで顧客のところに行っているため同僚と顔を合わすこともありませんが、朝晩は同じ課のメンバーでミーティングを行っていましたし、皆が同じフロアで働いていましたので、誰とも顔を合わせないということはまずありませんでした。
しかし、薬剤師は基本的に同じ店舗のスタッフとしか顔を合わせません。そのため、ほとんどの社員とは新年会など会社のイベントでしか出会うことがありません。
個別にプライベートで会うことはありますが、同じ職場で働いてはいないので仕事終わりに「飲みに行こう」となることもありません。他の店舗の薬剤師と仕事の話をする機会も少ないので、困った時に気軽に相談できないときもあります。
また、会社の規模が大きいにも関わらず同じ職場で働くことが少ないということは、もう一つ特殊な状況が生まれてきます。それはウワサ話が多いということです。
これは、女性が多いという調剤薬局の特徴が理由かと思いますが、人と会う機会が少ない代わりに、人づてで様々なウワサ話を耳にするようになります。
「○○さんはあの店舗でトラブルを起こしたらしいよ」など、あまり顔を合わせたことが無くてもウワサではよく耳にする、という人は結構多いです。
これは、特に普段同じ店舗で働いていると他の人の現状を耳にする機会がないので、他の店舗の状況を知るにはいいのですが、「自分も知らないところで変なウワサを立てられているんじゃないか」といった疑心暗鬼に陥ることもあります。
あまり他の社員と関わらずに仕事をしたいという人や、自分のスペースを守りつつほど良い距離感でいたいという人にとっては、調剤薬局の環境の方が良いのかもしれません。
仕事に対する評価が難しい
仕事をしていて一番感じるのは、「仕事を頑張っても正当に評価されるのかな?」ということです。これまでの仕事と比較しても、薬剤師というのは非常に評価のしづらい仕事だと思います。
日々の調剤業務は、「ミスがなくて当たり前」の仕事です。どれだけ普段完璧に調剤をこなしていたとしても、それが特段評価されるということはありません。
また、①でお話したように、評価をしてくれる上司とも一緒に仕事をすることは少ないので、普段の仕事ぶりを評価してもらうのも難しくなります。
そのため、私の会社では普段の調剤業務だけでなく、プラスアルファで会社に利益をもたらすことができれば評価されることもあります。
たとえば、調剤薬局のM&Aの案件を成立させた、業務効率化のための新しシステムを構築させた、などです。しかし、これも明確な評価基準はありませんので、結局は評価する上司のさじ加減ということになります。
営業の仕事をしていた頃は、「営業成績」で全て評価される世界でした。どれだけ売り上げを上げたか、新規顧客を開拓したかなど、しっかりと評価項目が決められていました。
求められるものは厳しかったですが、評価としてはわかりやすく、頑張った分だけ評価につながるのでモチベーションにもつながっていたと思います。
調剤薬局では、そういった「数値化」して評価するということは非常に難しいと思います。例えば薬局ごとの利益で比較しようとしても、薬局によって収益構造が異なるため比較のしようがありません。
内科の門前と眼科や皮膚科の門前では、明らかに内科の門前薬局の方が売り上げが高くなるためです。
また、昨対比で見てもらうために来局患者数を増やそうと思っても、患者さんがどれだけ来るかというのは門前の病院次第なところもあるため、薬局としてできることには限界があります。そうすると、仕事に対するモチベーションにも影響してきます。
会社の規模によっても大きく変わりますが、調剤薬局は仕事の結果でも過程でも評価するのが難しく、またその評価の仕方は会社によって様々です。
ですので、「今の薬局で評価してもらえないから転職する」と思って他の調剤薬局に転職したとしても、正しく評価してもらえるかはわかりません。逆に、大きなミスさえなければそれなりに一定の評価を受けることができるともいえます。
スケジュールは病院次第?
証券会社の営業職をしている頃は、1日のスケジュールは自分で計画を立てて行動していました。結果さえ出すことができればその過程は個人個人に任されていましたので、「今日はこのエリアを回ろう」「今日は一日電話営業しよう」といったことも自分で考えてスケジューリングしていました。
自分でなんでも決めていいとなると、一見楽そうに見えますが、スケジュール管理能力が低い人では、時間を効率的に使えず成果も上げられなくなってしまいます。
一方で、調剤薬局では1日の流れは門前の病院にならう形になります。病院の診察時間が長引けば薬局が閉局するのも遅くなりますし、普段の薬局の忙しさは病院にどれだけ患者さんが来ているかで大きく変わってきます。
冬場になりインフルエンザ等が流行すると内科や小児科では一気に忙しくなりますし、逆に夏場は患者数も減って時間に余裕ができるようになります。
自分が管理するのではなく時期や病院によって忙しさが変わってくるというのは、それまでの営業職時代にはなかったことでした。
忙しい薬局で働いていると、常に気を張っている状態になるため、休憩時間以外で気の休まる時間がありません。
営業では客先への移動時間など、1人になる時間も多かったため、そういった時間が持てないということが転職したては特につらかったですね。自分の体を慣らすのにしばらく時間がかかったと思います。
まとめ
今回は調剤薬局が変わっていると思った点を3点挙げさせていただきました。営業職が自分から動いて仕事を見つけてくる「能動的な仕事」だとしたら、調剤薬局では常に同じ場所に留まって患者さんを待つという、「受動的な仕事」だと思います。
また、仕事内容には正確性や丁寧さが求められる一方で、「誰がどれだけ頑張ったか」という評価を客観的に行うのは難しい仕事だと思います。
今回は特に特殊だと思った3点を挙げましたが、他にも「今までの仕事ではこんなことなかったな」と思うことは数多くありました。
ですが、仕事に対する達成感や日々の充実感は、証券会社でも調剤薬局でも同じように持つことができました。
また、一見全く関係のない仕事に見える証券会社と調剤薬局ですが、証券会社の営業で鍛えたコミュニケーションスキルなどは薬剤師になってからも活かされています。経験が全て無駄になる、ということはありません。
仕事をしていると、「自分にはこの仕事が向いていないのかも」と考えてしまうこともあります。仕事に悩んで新しい環境を求めて転職したとしても、同じ薬剤師に就くのであれば結局同じ悩みが出てきてしまいます。
そんなときは、一度これまでとは全く異なる仕事にも目を向けてみると、自分が本当に向いているのはどんな仕事なのか、見えてくるのではないでしょうか。
この記事を書いた人
けちゃおさん
「薬剤師兼WEBライター」薬学部を卒業後証券会社に入社。現在は調剤薬局の薬剤師として働くかたわら、医療・薬剤師・キャリア等に関する記事を多数執筆。
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