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こんにちは。ライターの渡辺です。本日は、フリーランスの漢方薬剤師として活躍する森田博美(もりた・ひろみ)さんにお話を伺います。「薬剤師になる気はあまりなかった」と語る森田さんが、これまで歩んできた道のりとは?
※当サイトは口コミの一部を掲載しています。
この記事の目次
▲漢方薬剤師の森田博美(もりた・ひろみ)さん
9歳から12歳までのおよそ3年間、幼少時代をボストンで過ごした帰国子女。漢方薬剤師の傍ら、得意な英語を生かして通訳としても活躍中。1年に4〜5回は海外に行くほどの大の旅行好きで、将来は海外で生活することを考えている。
森田さんは、漢方に関するセミナー活動やワークショップなども積極的におこなっています。詳しい活動については、森田さんのウェブサイト「漢方薬剤師 森田博美」をチェックしてみてください。
1.薬剤師よりも語学を活かした仕事に就きたいと思っていた
―本日はよろしくお願いします。薬剤師さんってもっとお堅い感じをイメージしていました。うまく言えないのですが、森田さんは薬剤師っぽくないというか…。
森田さん:本当ですか!?色んな人からもよく「全然薬剤師に見えないね」って言われるんですよ(笑)。
実を言うと、もともと私は薬剤師よりも、客室乗務員など語学を活かした仕事に就きたいと思っていました。薬剤師のインタビューなのに、こんなことを言ったら身も蓋もないかもしれないんですけど。
―そうなんですか。興味がなかったのに、どうして薬剤師になろうと思ったんですか?
森田さん:両親が医療系だったため、自分も漠然とそっちの道が合っているかもと思ったんです。あと、国家資格があれば、専業主婦の傍ら良い条件でアルバイトができるかなと思って。私の母も専業主婦だったので、とりあえず自分の興味のある仕事というよりも、将来の安定を考えて薬学部へ進学しました。
2.家族の不幸、2011年の震災。授業についていけず辞めることも考えた学生時代
―私の身内が薬剤師なんですけど、前に「薬学部は大変」って話を聞いたことがあります。薬学部のどういうところが大変なんでしょうか?
森田さん:はい。まず勉強が大変です。それから大学5年生にあがると、病院実習や薬局実習に加えて就職活動もはじまります。なので、6年間の学生生活は結構忙しかったですね。
しかも、私が大学5年の頃は、震災が起きた年で、祖父母の自宅がある宮城と東京を行き来する生活を送っていました。幸い津波による被害もなく親族も無事でした。
だけど地震の影響で、電気、ガス、水道のライフラインがすべてストップしてしまったんですね。震災が起きた3月はとても寒い時期だったので、その影響で祖母は体調を崩してしまい亡くなってしまったんです。
1ヶ月前の2月には、祖母の看病をしていた祖父が介護疲れで亡くなったばかりで……。雪道で倒れていたところを、通行人が発見してくれたんです。あまりにも急なことだったので、「あんなに元気だったおじいちゃんが何で?」って心の整理ができずにいました。
そこへ追い討ちをかけるように、震災や祖母の不幸などが立て続けに起きて、身も心もボロボロでした。当然そんな状況で大学の授業や病院実習に参加できるはずもなく、大学の評価は最悪。人生のどん底期でした。
―大学の授業どころではないですね…。
森田さん:そうですね。その時は、本当に大学を辞めたいと思っていました。結局、あと1年ちょっとで卒業だからこのまま乗り切ろう、ということになったのですが。
3.人生を変えたUCLAとの出会い
▲森田さんが通っていたUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)
森田さん:幼い頃ボストンに住んでいたこともあり、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)での海外研修のプログラムにチャレンジしてみることにしたんです。幼少時代に培った語学を活かせるのではないかな、と。
―思い切って環境を変えてみることにしたんですね。
森田さん:当時は、薬学部生が海外の病院実習に参加できるプログラムがなかった。けど、私が大学5年生のころにはじめて、薬学部生でも参加できるようになったんです。病院実習の評価が悪かったので、「絶対に見返してやる!!」という気持ちですぐに応募しました。
―UCLAって確か、ハーバード大学とかスタンフォード大学並みのレベルの高さですよ。しかも学校初の試みとなると倍率も相当高いんじゃ……?
森田さん:倍率まではちょっとわからないですけど、応募枠はたったの一人だけでした。
―ひとり!?めちゃくちゃ狭き門じゃないですか……。
森田さん:はい(笑)。なので、何が何でも勝ち取ってやろうって。スカイプ面談があると聞いていたので、週1〜2回のペースで英会話カフェに通ってビジネス英会話の勉強もしました。アメリカから帰国してからは、英語に触れる機会がほとんどなく忘れかけていたので。
そうやって意気込んで受けたはいいものの、面接官からは「あなたは大学で何の研究をしてるの?」「それはどのようなプロセスでおこなっているの?」とか、日本語でも答えづらいようなことを聞かれ、頭の中が真っ白になりました。単語と単語を繋げながら会話するだけで精一杯だったので、正直受かるとは思っていませんでした。
森田さん:けど、奇跡的に受かったんですよ。合格発表のあと面接官が言ってくれたんです。『言葉がわからないなりにも、一生懸命話そうとする姿勢に好感を持てた』って。人生のどん底期を経ての挑戦だったので、嬉しくて嬉しくてたまらなかったです。
―すごい!!何事もチャレンジあるのみですね。
▲大学のキャンパス内で、足を伸ばしてくつろぐ森田さん。
森田さん:そうですね。もちろん不安はありましたけど、UCLAに参加して本当によかった。UCLAに行ってみると、医療現場で働いている一人一人が全員、プライドを持って楽しんで仕事をしてるんですよ。「私はこうなりたい」「私はこの専門性を極めるために資格の勉強もしてるの」って、生き生きしているんですよね。そこではじめて思いました。「あぁ、働くのってこんなにも楽しいことなんだ」って。
―海外の医療現場と日本の医療現場は働き方に違いがあるんですか?
森田さん:働き方というか、考え方の違いだと思います。日本の薬剤師はどちらかというと「自分はあくまでもサポート役」って考えてしまいがち。薬剤師だから、看護師だからと一歩身を引いてしまう。けど、UCLAにいる人たちはそうじゃない。薬剤師という仕事に誇りを持っているんです。
―日本人は、自分が前に出るよりも相手に身を委ねてしまう傾向にありますね。
▲大学のすぐ近くには海があり、開放感あふれるロケーション
森田さん:そうですね。それに、UCLAで働く人たちは仕事もプライベートも充実してる人がすごく多かったんです。メリハリをつけて、バランスのいい人生を送る人たちを見て、学生ながら「私もあんな風になりたい」って憧れを抱くようになりました。
「好きなことをやろう」と思えるようになったのも、私がフリーランスになろうと思えたのも、UCLAでの経験が大きかったです。世界トップレベルの環境で得た貴重な経験が、今の私の原動力になっているんです。
4.死ぬこと以外は何もリスクではない
―UCLAでの経験が、フリーランスになったきっかけだったんですね。でも、フリーランスって保障も何もないじゃないですか。リスクとか考えてしまいませんか?
森田さん:う〜ん……。セミナーの参加者からもよく聞かれるんですけど、リスクって何だろう?って思うんですよね。ちなみに、渡辺さんにとってのリスクって何ですか?
―:そうですね、やっぱり生活面ですね。お金を稼げなかったらご飯も食べられないし、家賃が払えなくて住むところだってなくなってしまうかもしれないし……。
森田さん:確かにそれは不安ですよね。でも、たとえどれだけ過酷な状況に追い込まれたとしても、死ぬわけじゃない。私にとってのリスクは、やりたいことをやらずにいること。
だって、明日生きていられる保証なんてどこにもないんです。だったら後悔しないように、今やりたいこと、好きなことをやって楽しみたい。だから、死ぬこと以外は何もリスクじゃない。震災で突然家族を失ったり、同級生が若い年齢で病死したりするのを目の当たりにして、そう強く思うようになりました。
―守りに入るのはリスクヘッジではなくて、ただ単純に逃げているだけなのかも。むしろ可能性を狭めてしまいますね。
森田さん:失敗したら、またやり直せばいい。私は、フリーランスという働き方を選んで本当によかったなって心から思います。薬剤師として働きながら、やろうと思えばいくらでも自分のやりたいことができるんですもん。
―私も失敗を恐れずどんどん挑戦していこうと思います。本日はお話ありがとうございました!
5.まとめ
今日は、漢方薬剤師の森田博美さんにお話を伺いました。大学を辞めるべきか迷い、家族の不幸や震災など辛い出来事に見舞われながらも、直向きに挑戦し続ける森田さんの表情はとても明るく、話を聞いていてともて勇気付けられました。
「仕事」も「人生」として楽しむ森田さんはまさに、女性が求める理想の姿なのではないでしょうか。
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