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地域社会で活躍できる薬剤師養成のために、青森大学が行う2つの取組みとは

地域社会で活躍できる薬剤師の養成に力を入れている青森大学薬学部。

今回は具体的にどんな取り組みをしているのか、詳しいお話を佐藤昌泰准教授に伺いました。

佐藤 昌泰(さとう まさやす)さん

ご経歴
青森大学薬学部助手(平成16年4月〜)
青森大学薬学部助教(平成19年4月〜)
青森大学薬学部講師(平成20年4月〜)
青森大学薬学部准教授(平成27年4月〜)

現在の研究内容
専門は古環境学だが、近年は学生エンゲージメントと薬学教育に関する研究を行っている。

※当サイトは口コミの一部を掲載しています。

1.患者さんに寄り添い、次世代の薬剤師を生み出すきっかけを作れる薬剤師

-はじめに「地域社会で活躍できる薬剤師」とは具体的にどのような薬剤師を指すのかお聞かせください。

患者さんに寄り添い、親身になって相談・共感・対応ができることはもちろん、次世代の薬剤師を生み出すきっかけを作れる薬剤師を指しています。

患者さんに寄り添い、親身になって相談・共感・対応をするには、高い知識とスキルが求められます。技術の進歩が早い現代は、薬剤師免許をとったら勉強が終わりではなく常日頃から自主的に知識やスキルを身につける自己研鑽が求められます。

また本学がある青森県では薬剤師が不足しているため、新たな薬剤師の育成が重要な課題としてあります。
薬剤師の数を増やすには、薬剤師の仕事内容や魅力を多くの人に知ってもらい薬学部への入学者数を増やす必要があります。
そのために、薬剤師の仕事内容や魅力を発信し若者が薬剤師を目指すきっかけとなる薬剤師の存在が重要です。

これらの理由から、本学では常日頃から自己研鑽をして患者さんに寄り添いながら、次世代の薬剤師を生み出すきっかけを作れる薬剤師を『地域社会で活躍できる薬剤師』と定義しています。

-地域社会で活躍できる薬剤師の養成に注力するきっかけはあったのでしょうか?

元々地域に根ざした大学を目指していたのですが、一番のきっかけは薬学部卒業生から卒業後の働きについて聞いたことです。
卒業して薬剤師として働いたものの、短期間で職場を去ってしまう卒業生が一定数いると知りました。

本学では薬剤師免許取得のサポートを行い、多くの薬剤師を生み出すことが地域への貢献だと考えていましたが、この事実を知ってから考えが変わりました。
地域社会に対して本学ができる貢献が薬剤師の養成だと考えた場合、本学が行うべきは薬剤師免許の取得サポートだけではなく、地域社会に医療人として貢献する薬剤師の輩出が大事だと考えました。

2.薬剤師のやりがいと責任を養う2つの取り組み

教授の写真

-具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか?

地域社会で活躍できる薬剤師の養成には大きく2つのアプローチが必要だと考えています。 1つ目は「明確な目標を持って薬学部に入ってくれる学生を増やすこと」、2つ目は「現薬学部生に薬剤師のやりがいを認識してもらうこと」です。

1つ目の「明確な目標を持って薬学部に入ってくれる学生を増やす」取り組みとして、中高生向けに薬剤師体験会を行っています。
具体的には、年2回ほど教育委員会と協力して中高生120名ほどを集めて、薬剤師の仕事内容を体験してもらったり、卒業生を呼び薬剤師の仕事について話してもらったりすることで、中高生に薬剤師を知ってもらうイベントです。

参加者のほぼ全員が薬剤師に興味がある中高生のため、このイベントを通じて薬剤師について詳しく知ってもらい、薬剤師になって働くイメージを具体的に持ってもらえたらと考えています。
中高生のうちから薬剤師として働くイメージをもってもらうことで、将来的に明確な目標を持って薬学部に入ってくれる学生が増えると期待しています。

実際に結果として出ている部分もあり、参加してくれた中高生へのアンケートから「普段聞くことの出来ないことを聞けた」「様々な職種の薬剤師からいろいろな話を聞き比べることができて良かった」と将来の参考になったという声を多数もらうことができました。
また今年度入学の本学薬学部生の半数が、中高生時代に薬剤師体験会に参加してくれていることがわかり、少しずつですが取り組みが実を結んでいるようで嬉しいです。

-とても素晴らしい取り組みですね。もう一つの「現薬学部生に薬剤師のやりがいを認識してもらうこと」に関してはどのようなことを行われているのでしょうか。

「現薬学部生に薬剤師のやりがいを認識してもらう」ために、学生のうちから薬剤師の業務と同じ健康に対するアドバイスを体験させています。
学園祭で薬学部専用のスペースを作り、来てくださった地域の方々に健康器具を使ってもらい、出た結果から簡単なアドバイスを薬学部生が行っています。
薬学部生に実際に薬剤師になったときに求められる、医療人としての地域の方々との関わり方を疑似体験してもらっています。 実際に指導する経験や感謝される経験などを通じて、薬剤師としてのやりがいと責任を肌で感じてもらい、薬剤師に向かって強く歩んでもらいたいと考えています。

これら二つの取り組みを通じて、現薬学生、中高生ともに明確な目標を持って薬剤師を目指してもらいたいです。
将来的には医療人として地域に貢献するだけでなく、薬剤師の仕事内容や魅力を講演しにきてもらい新たな薬剤師の養成に力を貸してくれることを願っています。

3.より多くの青森県の方に薬剤師の素晴らしさを知ってもらいたい

-今後、青森大学薬学部として新たに行っていきたいことを教えて下さい。

現在の薬剤師体験会が出来る輪を広げていきたいと思います。
現在の取り組みでは、遠くて参加できなかった学生や参加人数の関係で選考に落ちてしまう生徒がいます。
そんな生徒のために、規模は小さくなってしまいますが、出張して「出前薬剤師体験会」を開いていきたいです。卒業生にも参加してもらい、薬剤師の仕事と魅力をより多くの中高生に知ってもらえるよう取り組みを広げていきたいです。

-最後に薬剤師や学生にメッセージをお願いします。

薬剤師免許取得は、6年間もの長い勉強が求められる簡単ではない道のりです。そのため、途中で挫折してしまう学生もいます。
一方、これから薬剤師を目指す人は「どうして薬剤師になりたいのか」という目標と覚悟をもって目指してもらえたらと思います。

青森大学薬学部の公式HPはこちら

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