※当サイトはマイナビ・リクルート等各社サービスのプロモーションを含み、アフィリエイトプログラムにより売上の一部が運営者に還元されることがあります。 なお、得た収益が記事中での製品・サービスの評価に影響を与えることはありません。
今回は、3月のニュース記事を3点ご紹介します。最近は、話題となるのは新型コロナウイルスばかりですね。
感染することによる健康被害も心配ですが、経済活動への影響も日々大きくなってきて不安に感じることも増えてきています。
そこで今回は新型コロナに関連した記事を中心にピックアップして、薬局や医薬品業界にどんな影響を与えるのか、といったことを中心に考えてみたいと思います。
※当サイトは口コミの一部を掲載しています。
クオールが導入、処方薬をアプリで入手
ニュース概要
調剤大手のクオールホールディングスは、患者が薬局まで来なくても、スマートフォンを活用して受け取ることが出来る仕組みを導入しました。
コロナウイルスの拡大を受けて、2月28日に厚生労働省が医療用医薬品の配送を暫定的に認めていますが、クオールでは医師の診察、服薬指導、支払いまで全てスマホやタブレットで済ませられるとのことです。
不要不急の外出を控えたいが、定期的に通院する必要のある患者にとっては、大きなメリットのあるものになりそうです。
日経新聞 2020/3/10
コメント
新型コロナの影響で各業界が大きな打撃を受けていますが、それは医療業界も例外ではありません。最近では「不要不急の外出を控えるように」と言われているため、軽い風邪などで病院を受診する人も減っているように思います。
実際、私が勤務する調剤薬局も3月に入り例年より2~3割ほど患者数が減っている印象です。まだ収束は見えませんが、この状態が続くようであれば、医療機関も中には経営が厳しくなるところもあるのではないでしょうか。
ただ、この業界が他のサービス業と異なるのは、定期薬として薬を必ずもらわなければならない人も一定数いるため、患者数がゼロになることはないということでしょうか。
外食やジム、イベント事などは仮に行かなくなったとしても命に関わることはありませんが、定期に薬をもらう必要のある人が病院に行かなくなると、その人の健康状態に悪影響ですし、最悪命に関わってくることになります。
なので、高齢者でどこにも出歩きたくなくても、薬だけもらいに病院、薬局へ来るという人はかなりの数いらっしゃいます。今回導入されたクオールのスマホでの服薬指導は、これまでこのコーナーでもたびたび取り上げてきたオンライン服薬指導の一つです。
ただ、これまでニュースとして目にしてきたものはパソコンを通じてというものが多かったですが、今回紹介されているのは服薬指導から決済まで「スマホのアプリで完結できる」と言う点が真新しさを感じます。
クオールは「暫定的な措置」としていますが、利用者からの反響が大きければ、コロナ沈静化後も継続されていく可能性は十分にあると思います。
なかなかオンライン服薬指導が浸透しない中で、今回のコロナウイルスの騒動は薬局のあり方を変える大きなきっかけになるかもしれません。現場で働く薬剤師としては、どうしても「対面で指導をしてこそ薬剤師の仕事」という思いがあります。
オンラインが普及すると薬剤師の価値が低下するのでは、という危機感もあります。実際、テレビ電話だけではあまり深いヒアリングまでできない、という可能性はあると思います。
なので、こういった「オンライン」「遠隔」といったワードにあまり良い印象を持たない薬剤師の方も多いかもしれません。しかし、海外を見るとオンラインによる遠隔医療は日本より数段進んでいる国も多く、日本でも今後間違いなく普及していく分野です。
「普及しては困る!」と後ろ向きな考えでいるより、クオールのように「将来の店舗の競争力につながる」と前向きにとらえて取り組んだほうが良さそうですね。私の会社ではまだオンライン服薬指導を導入するなどの話は出ていませんが、もし機会があれば率先して取り組んでみたいと思います。
インドの薬品輸出制限で、欧州がパニックに
ニュース概要
インド政府は、自国で生産している医薬品の一部について輸出を制限することを明らかにしました。新型コロナウイルスの感染拡大により、国内の医薬品が不足することのないように取られた措置とのことです。
インドは世界的にみて後発医薬品の主要な輸出国で、今回の輸出制限により欧州などのインドに依存している国ではパニックが起こる危険性があります。
REUTERS 2020/3/4
コメント
記事では、インドが医薬品の輸出を制限することによる世界的な医薬品不足について紹介されています。なぜ、コロナがあまり流行っていないインドでこのような事態が起きているのでしょうか。
インドは、ジェネリック医薬品の主要な輸出国です。世界のジェネリックの約20%をインドが担っているといわれています。そして、その医薬品の有効成分の大半を、中国に頼っているという現状があるようです。
なので、インドの医薬品供給がストップするというkとは、世界の医薬品市場で大きなの影響が出ることが予想されるのです。また、これはインドに限った話ではないので、今後様々な薬が供給されなくなる、というリスクは十分に考えられると思います。
日本では今のところコロナの影響で薬が不足している、という話は聞きませんが、今後はどの企業も原材料の大半を中国から輸入していますので、自分の薬局でも起こりうることとして心の準備はしておいたほうがよさそうです。
これを機に、中国に大半を依存する現在の体質も変わり、工場を世界各地に分散させるといった流れも出てきそうですね。
今回のような有事の場合では、薬剤師の知識が必要になるケースもあります。考えられるケースとしては、ある医薬品が不足して処方できなくなってしまった場合、どの医薬品ならば代替できるのかを調べて医師に提案する、といったものです。
実際に東日本大震災の際も、医薬品が足りない中で薬剤師が医師と相談して代替薬を提案したり、ということがあったようです。災害時のような緊急性はありませんが、薬が足りなくなった時に「今ある薬の中で対応する」という管理能力が求められますので、しっかりと対応できるように準備しておきたいですね。
かかりつけ、6割が未届出【NPhA調査】
ニュース概要
日本保険薬局協会は、2019年度会員管理薬剤師アンケートの結果を公表しました。
それによると、2016年から始まったかかりつけ薬剤師制度について、実際に届出を行っているのは40.1%に過ぎず、約6割の薬局が届出を行っていないことが明らかになりました。
届出を行っていない主な理由としては、「当該保険薬局に1年以上在籍していること」といったことが挙げられています。
薬事日報 2020/3/3
コメント
2016年からスタートしているかかりつけ薬剤師制度ですが、患者さんへの案内以前に、そもそも届出を行っていない店舗が6割もあるという点は非常に驚きました。
ただ、その理由を見ると「確かに」とも思います。私は以前働いていた店舗でかかりつけ薬剤師を案内していましたが、メリットもありますが負担に感じる点も非常に多いと感じていました。
今回の記事であげられている理由としては、「当該保険薬局に1年以上在籍していること」「医療に係る地域活動の取り組みに参画していること」「服薬指導が固定されてしまう等の運営上の問題」といった点が紹介されています。
確かに、同じ店舗に1年以上の在籍というのは特に異動の多いチェーン薬局では難しいように思いますし、地域活動に関しては都道府県により見解も分かれますが、地域活動と見なされるものはかなり限定されているため、なかなかクリア出来ない薬局も多いようです。
ただ、この2つに関しては、届出の前提となる条件ですので、やろうと思えばできないことではありません。実際に案内をしていて特に不便と感じたのは、3つ目の「服薬指導が固定される」という点です。
かかりつけ薬剤師の同意をもらった患者さんに対しては、原則その薬剤師が毎回対応をしなければならないので、特に混雑時など混乱を招きやすいのです。また、24時間対応をとらなければならず、夜間や休日に患者さんから連絡が入ることもあり、それも大きな負担でした。
このようにデメリットと感じる点が多い一方で、かかりつけ薬剤師を取ることによる点数の上乗せは処方あたり20~32点とそれほど多いわけでもなく、正直「割に合わない」と感じることもありました。
ただ、4月に行われる診療報酬改定でも今後の薬剤師のかかりつけ化が求められているように、かかりつけ薬剤師制度の重要度は増していくものと思われます。例えば「かかりつけ薬剤師の届出がなければ大きな減点」といったことになる可能性もあります。
また、かかりつけ薬剤師を取得することは、患者さんとの関係構築にも役立ちます。かかりつけとなることで患者さんから信頼され、薬や健康に関する相談をされる頻度は格段に増えました。将来も見据えて今のうちから届出、さらには患者さんからの同意獲得もやっていけたらいいですね。
まとめ
いかがでしたか。新型コロナウイルスが与える影響は確かに大きいですが、それに対して各企業が柔軟に対応することで、技術の飛躍的な進歩につながることもありそうですね。
特に今回挙げたクオールが導入したスマホを活用したオンライン診療などは、今後どの程度広がっていくのか注目していきたいですね。
ミライトーチMediaとは
転職やキャリアに関わるコンテンツを通じ、「今の仕事に悩む人」がより自分らしく働けるようにサポートしているメディアです。
不安のない転職活動や理想の転職先探しに役立ててもらうため、転職者や人材業界関係者へのインタビュー調査はもちろん、厚生労働省などの公的データに基づいたリアルで正しい情報を発信し続けています。