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9月は、季節の変わり目です。気温はまだ暑く残暑が続いていますが、体調を崩しやすい時期でもありますので、注意したいところですね。
世間では消費税増税が話題となり、業界ではそれに伴う薬価改定を10月に控え、その準備に追われた薬剤師の方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな9月に起きた薬剤師関連のニュースを3つピックアップして、薬剤師の目線から感じたことを書き連ねていきます。
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MR総数6万人割り込む~過去最大の減少に
ニュース概要
2019年3月末の統計で、MRの総数は5万9900人と、前年から2346人減って2009年以来の6万人を割り込む結果となりました。減少は5年連続ですが、今年は特に減少幅が大きく、製薬各社による人員削減が進んでいることが見て取れます。
内訳をみると、内資系企業では1266人減、外資系企業では1210人減となっています。また、薬剤師MRに限定してみると、672人減の5153人となり、全体と比較しても特に減少幅が大きくなる結果となりました。
薬読 2019/9/2
コメント
MRは年々減少傾向にありますが、それに更に拍車がかかっています。
私も5年前までMRをしていましたが、当時から外資系企業で大規模なリストラが行われるなど、MRを減らす動きは見られていました。
これは他の営業職でもいえることかもしれませんが、情報化が進み営業マンに頼らなくても気軽に情報を得られる時代になり、営業マンの価値は下がっているのだと思います。そしてこの流れは、今後もしばらく続くことが予想されます。
個人的に今回のデータで気になったのは、薬剤師MRの減少率です。
というのも、今後はMRの人数が減って、少数精鋭となっていくことが予想されています。そのため、知識のある薬剤師MRは重宝されるのではと考えていたからです。
しかし、実際には全体の減少率(62,246人→59,900人、3.9%減)よりも薬剤師MRの減少率(5,825人→5,153人、11.5%減)の方が大きいという結果になっています。
これには、「新卒でMR以外の道を選ぶ」人が増えたのと、「他の職場へ転職する薬剤師MRが増えた」ということが考えられると思います。
薬学部が6年生になり、専門性が増したことで、他の学部からでも就職できるMRの道を選ぶ薬学生が減っている可能性があります。
MRも特に病院担当となれば高い専門性が必要となる職種ですが、研究職や病院薬剤師など、薬剤師でなければできない、専門性の高い職種が選ばれているようになっていると考えられます。
また、転職市場においても、MRから薬剤師への転職が増加しているのではないでしょうか。私が働く調剤薬局でも、MRから転職してきた薬剤師はここ数年で増えています。
ここ数年のMR業界の動向から、早めに見切りをつけて調剤薬局などへ転職する人は、今後も増えていくと思われます。薬剤師でMRから他業種へ転職する人はいても、他業種からMRへ転職する人はほとんどいませんので、転職市場が活発になれば、MRの数も減少していくのだと思います。
しかし、MRがこのまま必要ない存在になるとは思いません。MRの総数が減ったことで、残ったMRはより多くの業務を担当し、これまで以上に専門性を求められる職種になっていくと思います。
また、もう一点気になるのは減少スピードが速いということです。特に外資系では早期退職やリストラで大幅に人員を減らすケースがあります。
しかし、MR業界はその特殊性から営業職であってもあまり他の業界へのつぶしが効かず、結果として業界内で転職を繰り返す人も少なくありません。
業界全体でこれだけ急激に数が減ってしまうと、辞めた人の受け皿も足りなくなってしまいます。
企業としてはMR削減は仕方のない事かもしれませんが、大幅な削減は混乱を招くことになると思いますので、何らかの対策を期待したいところです。
また、現在MRとして働いている人は、今後どうしていくべきか、考えるべき転換期であると思います。MRを続けるのかどうかということも含めて、今後のキャリアについてしっかり考えておきましょう。
妊婦に安全な薬剤、厚労省がデータベースで共有化へ
ニュース概要
厚生労働省は、妊婦に対する薬の危険性について、最新の研究結果のデータベースを全国の拠点病院で共有することを決めました。
妊婦に対しては、先天的に身体異常を持つ子供が生まれるリスクなどが指摘されている薬が多くありますが、その中には最新の臨床研究と比較するとリスクが低い可能性があるものも少なくありません。
必要な薬が服用できないと、妊婦にとって影響は大きいものです。データベースを共有化することで、医療機関での指導に生かすことが期待されています。
日経新聞 2019/9/4
コメント
妊婦への服薬は他の患者さんと全く異なるものです。調剤薬局で働く身としては、今回のニュースにあるような取り組みは非常に有効なツールになると思います。
そもそも妊婦に安全な薬、禁忌な薬は当然薬剤師としては把握していなければならないものではありますが、かといって普段妊婦の患者さんと接する機会の少ない薬局で働いていると、その知識を忘れてしまいがちです。
そういった現場ではまれに妊婦さんと対応するケースが起きたとしても、調べるのに時間がかかってしまったり、「間違ったことを伝えていないかな?」と不安になってしまうものです。
もし妊婦禁忌の薬に気付かず妊婦に渡してしまったら、流産の危険性などがあるため、妊婦の患者さんに対応する際はより一層の注意が必要になります。
そのようなことがないように、最近では電子薬歴の画面で妊婦禁忌の薬に対してエラーメッセージが出るなどの対策が取られている薬局もあります。しかし、すべての薬局で同じレベルの知識を身に着けるには、全医療機関で共有できるデータベースが必要だと思います。
ただ、今回のニュースにあるのは薬局向けではなく、病院向けのツールについてのものです。最新の研究結果も反映させて、現場での投薬に活かされるとのことです。
確かに、添付文書でも「妊婦に対する安全性は確立していない」などと記載されていて妊婦に対するデータがない薬も多く、また添付文書で「好ましくない」とされている薬でも、その後の研究によって大きな問題がないとされているケースもあります。
そういった情報を踏まえて、医療の現場で適切な投薬がなされていけばいいと思います。
それと同時に、同じ情報を薬局としても把握しておくことも必要です。
妊婦に対する投薬については、禁忌の薬以外は現場の医師の判断に任されていることも多くあります。薬局との意思疎通ができていないと、その処方が本当に正しいのか判断できず、結果必要以上に疑義照会をしてしまう、といったことも考えられます。
今回のデータベース共有化にしても、病院だけでなく薬局にも共有化を行うことで、より質の高い医療の提供が可能になるのではと思います。
薬局が受け取る調剤料、見直しを議論
ニュース概要
厚生労働省は、調剤料など薬局が受け取る報酬を見直す議論を始めました。
現在の診療報酬では、調剤料は服用日数が長いほど多くもらえることになっていて、2017年度で調剤料は1兆円を超えています。
しかし、機械化などで効率化が進んでいることも考慮して、日数に応じて調剤料が増える今の仕組みを見直すよう求める意見が相次ぎました。
調剤の手間が省ける分、服薬指導にかける時間が増えるとの考えから、患者への副作用の確認など服薬指導を重視した報酬体系にすることが求められています。
一方、薬局の経営に影響が出ないように段階的に見直すことが必要だとの声もあります。
日経新聞 2019/9/25
コメント
来年度の診療報酬改定に向けて、調剤料の見直しが議論されています。
これまでは日数が長くなればそれだけ多くの点数がつけられていました。確かに、日数が長くなればそれだけ調剤に時間がかかります。
また、高齢者などで一包化することになれば更に負担が増えることになるため、一包化加算にも高い点数がつけられていました。
しかし、今後は機械化による負担減を理由に、これらの点数が下げられることが予想されています。
しかし、現場で働いている側からすると、特に一包化などは機械化で楽になった面はありますが、それでも準備するまでに時間がかかり、また監査もしっかりする必要があるため、今でもそれなりに負担のかかる業務です。
その負担に対する対価として、一包化加算はこれまでと同じ水準でも良いのではないか、とも思います。
また、今後は「対物業務」より「対人業務」に対する評価のウェイトが大きくなるとされています。
今後もその流れは改定のたびに進むと思いますが、対人業務は対物業務よりも数値化した評価が難しいと思いますので、果たして薬局ごとに正しい評価ができるのか、といったところは不安に感じるところです。
一例として、対人業務の中で「服薬期間中の継続関与」というものが今後求められていくと言われています。服用期間中に患者さんに電話をかけて、薬の効果や副作用があるかなどのヒアリングを行うというものです。
しかし、この取り組みは暇な薬局では可能でも、忙しい薬局では難しい面もあるのではないかと思います。
薬剤師として働いて色々な薬局を見る中で感じるのは、調剤薬局は店舗によって忙しさがまるで違うという点です。
忙しい店舗とは、総合病院前や内科門前の薬局など、一包化も多くある薬局です。調剤と服薬指導だけで一日中動き回って、あっという間に一日が終わってしまうこともあります。
一方で、皮フ科や眼科の門前薬局などは時間に余裕がある店舗が多くあります。
これまでは、忙しい店舗の方がより多くの利益を上げられるように一包化加算などのウェイトが大きくなっていました。
しかし、今後服薬指導のウェイトが大きくなると、一人の患者さんに時間をかけられない忙しい店舗よりも、時間のある店舗の方が加算を取りやすくなる可能性があります。
患者数も多く、負担の大きい店舗が利益を上げづらくなってしまっては、その店舗で働く薬剤師としては理不尽に感じてしまうことでしょう。
個人的には、他の業務との兼ね合いで服薬指導に時間をかけられない店舗もありますので、そのあたりは考慮してほしいと思います。
いずれにせよ、一度に大きく変えてしまうと現場は混乱しますし、不満の声も出やすくなります。現場の声を聴きつつ、少しずつ変えていってほしいと思います。
まとめ
気になるニュースはありましたか?今回は、
- MR数の減少から考える業界の今後
- 妊婦に対する服用の情報共有化の影響
- 調剤料の見直しが進み薬局の業務はどう変わるか
といったことをテーマに意見を述べさせていただきました。
機械化、情報化が進んで薬局の仕事は昔より楽になっている面は確かにありますが、かといって薬に対する責任を持つことは以前と変わりません。
医療費削減を理由に、薬局の利益が理不尽に削られることだけは避けてほしいな、というのが私の感想です。
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