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今年も残すところあと2ヶ月ちょっととなりました。気温が下がってきたので風邪を引かれている方も少しずつ増えてきています。
皆様も体調には十分にお気をつけくださいね。さて今回も恒例となりました、薬剤師関連のニュースをご紹介していきます。
10月前半に起きたニュースの中から3つを厳選し、さらにそれぞれのニュースに対して薬剤師目線でのコメントを紹介。では早速、ニュースを見ていきましょう。
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会営薬局が敷地内薬局に手を挙げる意味
ニュース概要
病院内の敷地内薬局が全国的に広がる中、地域の薬剤師会として、基幹病院の敷地内薬局に名乗りを上げる動きが出てきた。
DI Online 2018.10/9
コメント
おそらくほとんどの方は「医薬分業」という単語を知っていることでしょう。医師と薬剤師とがそれぞれの専門性を発揮することで、医療の質を高めようというものです。
医療の質を高めるために院内処方ではなく院外処方を増やそうと、多くの医療施設がこれまでに動いてきました。
当たり前のように「医薬分業を推進すべきだ」と働いてきた医師や薬剤師にとって、驚くべきニュースが最近では話題を呼んでいます。
それがこの「敷地内薬局」のニュースです。「門内薬局」と言われることもあります。字を見てわかる通り、医薬分業とはかけ離れた薬局です。門前薬局どころか門内薬局を“国が認めた”となれば騒がずにはいられません。
敷地内薬局が解禁されたのは今から少し前の2016年の10月。このときに、今まで必要だった病院と薬局との間のしきりが必要なくなったのです。
なぜ今さらまたニュースで取り上げられているのかというと、会営薬局(薬剤師会が出資などに協力している薬局)が今後移転予定の病院の敷地内薬局の候補として手を挙げたためです。
日本薬剤師会はそもそも敷地内薬局に反対している立場にあるのですが、新庄最上薬剤師会が敷地内薬局を設置しようと動きを見せたので話題となっています。
まだ移転予定の病院が敷地内薬局にすると決まったわけはありませんが、もしも本当に会営薬局が敷地内薬局となったら「今までの医薬分業推進は何だったの?」と声を挙げる方が出てきてもおかしくありません。
敷地内薬局が増えれば、処方されたお薬をすぐ近くの薬局で調剤してもらう方が増えるのは容易に想像できるでしょう。
そうなると、かかりつけ薬剤師の機能がまったく働かなくなります。国の医療費を削減するためにかかりつけ薬剤師を増やしていこうという流れがトレンドとなってきていると言ってもおかしくない今の状況で、敷地内薬局を作ることは完全に流れに逆らっています。
しかし薬剤師の中でも敷地内薬局に賛成の方と反対の方とで意見が割れているのが現状。その理由は2つあり、1つは「医薬分業のメリットを患者さんが実感できていない」というもの。
2つめは「病院から薬局が近い方が患者さんの負担が少なくなる」というものです。そもそも医薬分業のメリットを感じている患者さんが少ないのなら、敷地内薬局を作っても影響はないだろうということです。
これはこれでたしかにごもっともな意見。医薬分業にしろなんにしろ、目指す先がはっきりしないとこちらも困ってしまいますね。
在宅医療対応薬剤師を養成
ニュース概要
岐阜薬科大(本部・岐阜市大学西)は10日、調剤薬局を展開するゆうホールディングス(京都市)と連携し、現場実習を通じて在宅医療で活躍できる薬学生や薬剤師を養成する講座を開設した、と発表した。在宅医療を推進するための研究も行う。在宅医療のニーズが高まる中、人材育成を加速させる。
岐阜新聞web 2018/10/11
コメント
65歳以上の方が人口の21%以上を超えた社会を超高齢社会と言います。もちろん日本は超高齢社会の真っただ中。
2015年には4人に1人が65歳以上の高齢者となりました。高齢者が増えるにつれて、薬局では在宅医療を重視するところが増え、積極的に在宅医療を導入する薬局も増えてきています。
そのような中、岐阜薬科大で在宅医療で活躍できるような薬剤師を育てるための講座が開設されました。これはぜひ注目していきたい取り組みですね。
これを読んでいる多くの薬学生、薬剤師の方も大学で在宅医療の勉強をしっかりしたよという方はほとんどいないでしょう。就職してから在宅医療に関わる必要が出てきたので勉強を始めたパターンの方が多いはず。
でもこれって、よく考えるととても不親切ですよね。大学では在宅医療について大きく扱われることがないのに、社会に出てみるとむしろ在宅医療が重要視され、これからどんどん必要性が高まっていくというのです。
岐阜薬科大では“薬剤師や薬学生が実際に患者宅を訪問するなどし、薬剤師会や医師会、歯科医師会などと連携した在宅の多職種チーム医療を職場実習(OJT)で学ぶ機会を提供する”取り組みをするとのこと。
これまでも在宅医療の経験は5年次の病院実習や薬局実習で経験できなくもありませんでした。しかしそれは、在宅を体験してみるだけであり在宅医療に対応できる薬剤師を育てるものではありません。
こちらの講座は最長で5年開講するそうですが、ぜひこの動きが他の大学にも伝播してほしいですね。
また“移動先で調剤できる車両「モバイルファーマシー」を活用した研修”を行うというのも注目したいところ。
まるで焼き鳥やお饅頭の移動販売車のように、車両内で調剤できるなんてとても面白いですよね。
モバイルファーマシーが「調剤してもらっていないお薬があるから、ちょっと頼んでみようかな」といった具合に気軽に調剤を頼める存在になれたら、もしかしたら高齢の方や薬局まで自力でお薬を取りに行くことが難しい方の役に立つことも考えられます。
2025年には約3人に1人が65歳以上の高齢者になると言われている日本。高齢者が増えていくのはしばらく続くでしょうから、それに順応した対策が薬剤師だけでなく、薬学部に通う学生にも必要になってくるでしょう。
「オプジーボ」の効果があるのは2割 “夢の薬”の現実と課題
ニュース概要
京大・本庶佑特別教授のノーベル医学生理学賞の受賞で、これまで以上に脚光を浴びている免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」。あらためて、がん治療における“夢の薬”とばかりに騒がれているが、実はまだまだ課題も多い。
日刊ゲンダイ 2018/10/10
コメント
新しい作用機序の抗がん剤オプジーボを発見した本庶佑教授がノーベル賞を受賞したことで一躍有名になったこちらのお薬。
ノーベル賞受賞によって広く知られるようになったのもありますが、オプジーボの薬価があまりにも高額であることも話題となりました。
オプジーボ点滴静注100mgの薬価は2018年10月現在で27万8029円。2018年11月からは少し下がり17万3768円となります。年間で1,000万円ほどかかる計算です。
これまでの抗がん剤と違い、がん細胞を直接攻撃せずに免疫細胞の攻撃力を高めることでがんを排除していくもの。
そのため副作用も少ないそうですが、オプジーボが効果を示す方は2割程度とのこと。2人に1人ががんになる時代となった現在、抗がん剤を使った治療をしている方が決して珍しくはなくなりました。
しかし同じようにがんと戦っている患者さんでもどれだけの治療費を捻出できるのか、経済力によって受けられる医療に限りがあることは今も昔も変わりません。
もちろんこのオプジーボも、誰もが簡単に治療を受けられるようなお薬でないことは明白です。高額療養費制度を使えばいくらか負担は減るものの、それでも決して安い治療費とは言えません。
受けたい治療を受けられないことは、がんと戦う患者さんにとってどれだけ苦しいことでしょうか。
オプジーボのような高額の医薬品は、国の医療費を大きく圧迫してしまうことも問題の1つです。
私達薬剤師が日頃こつこつとジェネリック医薬品を勧めたり、在宅医療やかかりつけ薬剤師として働いたりすることで残薬の調整をしたとしても、その差額はすぐに高額な医薬品の処方によって埋まってしまうでしょう。
新しい治療薬が出ることは、病気に悩まれている方みなさんが望まれています。それによって今まで救えなかった命が助かる可能性もあるからです。しかしオプジーボのような高額なお薬は、夢と希望も期待されている一方でまだまだ問題点も多そうです。
まとめ
10月前半のニュースとして、今回は
- 敷地内薬局
- 在宅医療対応薬剤師の養成講座の開設
- 新しい抗がん剤「オプジーボ」
の3つについて取り上げてみました。みなさんはニュースを読まれてどのように感じたでしょうか。
時代に応じて“正しい医療”の定義は変わりますが、まさに今、その定義が変わってきているのではと私は感じました。時代の流れに合わせて医療も発展していってほしいものです。
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