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こんにちは。薬剤師なのに調剤が苦手という理由で新卒でマツモトキヨシに入った「まりも」です。現在はHOP!薬剤師をはじめ、複数の医療関係メディアでライターとして活動しています。
今回は、7月の後半に起きた薬剤師関連のニュースで私が特に注目したニュースを3つピックアップしています。それぞれについて、どのように感じてどのような考えをもったのか、実際に働いている薬剤師の目線から論じていきたいと思います。皆さんが薬剤師業界の今後を考えるきっかけになれば幸いです。
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この記事の目次
タイムカード打刻「15分単位」で切り捨て…薬局従業員、労基署に「是正」求める
ニュース概要
神奈川県を中心にドラッグストアを展開するクリエイトエス・ディーで、従業員の出退勤時間を15分単位で切り捨てる処理がされて、時間外賃金が未払いになっていることが明らかになりました。
BIGLOBEニュース 2018/7/23
コメント
こちらは、神奈川県のドラッグストアが、出退勤時間を不正に処理し、実際の労働時間を少なくしていたというニュースです。この記事を読んで、「不正に処理するなんて、何という会社だ!」と思った方と「こういうのあるよね…。」と思った方の2パターンに分かれるのではないかと思います。
私はどちらかというと後者の感想を持ちました。このようにニュースになっていなくても、意外と働いた分の給料をきちんと支払っていない会社はたくさんあると思うのです。もちろん、ドラッグストアだけでなく調剤薬局や病院など、あらゆる職種を含めての話です。
今回はニュースに出てくる女性の方が会社がおかしいと訴えたために、勤怠の不正処理が明るみになっていますが、実際にこの女性のような行動を起こせる方はほんの一握り。会社が何かおかしいことをしていても黙って我慢している方が大半でしょう。
さて、このような勇気のある女性の方によって明るみになった勤怠の不正処理についてですが、不正処理とまではいかなくても、多くの職場で、働いた分の給料が貰えないという事態が起きています。
例えばサービス残業。あなたはサービス残業をした経験はありませんか?今までまったくないよという方の方が少ないかと思います。良くあるのは薬歴を書くために、閉局した後も残って書くという状況。営業時間中は忙しくてなかなか書けないので、薬局を閉じてから書くというものです。
人によっては自宅に持ち帰って書いているという方も。もちろん、この分の給料がしっかり支給されているのなら何の文句もありませんが、実際はそうではないという状況が多いです。
薬歴に限らず勤務時間終了後に勉強会があったり、シフトを作成したり、ドラッグストアであればお店に泊まって売り場替えをしたりなんてこともあります。
ここで言いたいのは、働いた分の給料をきちんと支払っていない会社は何も、ニュースになったクリエイトエス・ディーだけではないということ。
日本中のあらゆる会社で給料がしっかり支払われていないケースがあると私は考えています。明るみになるか、ならないかという違いがあるだけです。
今回は勇気ある女性の訴えにより会社の不正が公になりましたが、こういった不正はまだまだ日本中に潜んでいるのではないでしょうか。
そうでなければ“ブラック企業”だなんて言葉を見たり聞いたりする機会がここまで増えることはありません。
今回、訴えを起こした女性が「会社側の対応は不誠実だと思うことがある」とコメントをしていることから、以前から会社に対して鬱憤がたまっていたのではと推測できます。雇用者と労働者の関係に大幅な見直しが必要なのではないでしょうか。
子ども用スキンケア商品がランキングTOP30に初登場 〜訪日外国人消費、「もも人気」が子ども用品にも拡大〜
ニュース概要
購買ビッグデータ分析の株式会社True Data(トゥルーデータ/本社:東京都港区、代表取締役社長:米倉 裕之)は、全国ドラッグストアのPOSデータによる2018年6月のインバウンド消費動向調査を発表します。
当月のインバウンド消費購買件数は1店舗あたり1,761件で、前年同月(1,436件)比は22.6%増と好調に推移し、当社の調査開始以降6月として過去最高件数を記録しました。1レシート当たりの購買単価は前年同月比6.4%増の15,267円でした。
薬事日報 2018/7/30
コメント
日本の医薬品や化粧品が、海外の方にとても人気なのをご存知でしょうか。特に中国の方は「日本の薬は良く効く」と言って、かなりの量を買われていきます。
記事中には1レシート当たりの購買単価は15,267円であると書かれていますが、都内のドラッグストアだとこの金額はとても少ない方。多い方ですと1回の会計で10万円超えの方もいます。
このように、ドラッグストアの売上はインバウンド需要の影響を大きく受けているのです。外国人観光客が多く来店するドラッグストアに一度足を運んでみると分かりますが、お店の入り口に置かれている商品はどれもランキングに入っているような外国人に人気の商品ばかり。店頭に人気の商品を置くことで観光客を呼び寄せる作戦です。
さて、このインバウンド需要についてですが、実は日本の医薬品を大量に買っているのは観光客だけではありません。
いわゆる“転売ヤー”も大きく売上に貢献しています。転売ヤーとは、ドラッグストアで観光客に人気の商品を買い集め、それをさらに中国などに売りさばくことで利益を出している人たちのこと。もちろん、このような転売ヤーたちが買った商品もランキングに含まれています。
普通では考えられないほどの量を一気に購入していくのが転売ヤーの買い方です。例えば、サンテFX ネオ20個、ハトムギ化粧水20個といった感じ。
このような買い方、実はいくつかの問題点があります。1つ目は、医薬品の大量販売は、医薬品を正しく販売していると言えるのかということ。
例えば、普通に考えて目薬を20個も買うというのは明らかにおかしいことです。そんなに目の症状が気になるなら病院で診てもらってくださいと販売をお断りするのが一般的でしょう。
しかし、売る相手が転職ヤーとなった途端に、はい20個ね、と言って何の疑問も持たずに売ってしまう。しかも転売ヤーは毎日のように来店されるので、こちらが断らない限りは毎日買いに来ます。ドラッグストアは人の健康を守るためにお薬を売っているはずなのに、こういった売り方は問題ないのでしょうか。
二つ目の問題点は小売業であるドラッグストアが卸のような役割をしてしまうということ。転売する目的で買っているのが明らかなのに、大量に販売を続けることは小売業として許されることなのでしょうか。
転売ヤーの中には「この商品が100個ほしいから入荷しといて」と言われる方もいます。ドラッグストアも売上と利益を上げないといけないので、商品の種類によっては喜んで100個くらい売ってしまうでしょう。
インバウンド需要が高まっていることはとても良いことなのですが、裏ではこういった転売ヤーが動いているということも忘れてはいけません。
日本の鼻炎薬を愛用の中国の女性、取り返しのつかないことになるかも
ニュース概要
中国の浙江省杭州市に住む女性は日本の鼻炎薬を使用しているのだが、それが原因で一生鼻炎薬を使い続ける可能性もあると医師が指摘されたことが話題となっています。
日経新聞 2018/7/29
コメント
鼻炎スプレーを頻繁に使われている方には必ず「鼻炎スプレーの使いすぎによって鼻の粘膜が炎症を起こして余計に症状がひどくなる」ということは、ほとんどの薬剤師が患者さんにお伝えしていることだと思います。
しかし、相手が外国の方だとどうでしょうか。なかなかこのような注意喚起はできません。鼻炎スプレーに限らず、海外の方はお薬を大量に買われていくにもかかわらず正しい飲み方や使い方を尋ねてくる方はあまりいないのが現実です。
正しい使い方を知らないがゆえに、このニュースのように鼻炎スプレーを3年間も使い続けてしまうといった事件が起きてしまいます。
この女性はまず、鼻炎スプレーが鼻炎そのものを治すお薬ではなく、症状を抑えるだけのお薬だということに気がついていないような気がします。
そのため、「3年間使い続けているが、鼻炎が良くならない」といったことになってしまったのではないでしょうか。鼻炎スプレーの使いすぎによって鼻の粘膜が分厚くなりさらなる鼻づまりを引き起こしてしまうこの薬剤性鼻炎は鼻炎スプレーの使用を止めない限りは治りません。
鼻が詰まっているのに鼻炎スプレーを使えない状況というのは、思っているよりもつらいものでなかなか鼻炎スプレーの使用を止められない方もいます。
ニュースの文中に「一生鼻炎薬を使い続ける可能性もあると医師が指摘された」との記載がありますが、長年の鼻炎スプレーによる薬剤性鼻炎も、原因薬剤の使用を中止し、適切な治療をすることで鼻づまりは改善します。薬剤師鼻炎は非可逆的ではなく、可逆的な症状なのでこの中国の女性も症状が良くなることを祈るのみです。
インバウンド需要が高まってきているのにもかかわらず、ドラッグストア側が外国人相手にお薬の使用法を伝えることが難しいためにこのような事件が起きています。
しかし、このような事件を防ぐために何もしていないわけではありません。お薬を販売しているメーカーによっては、英語や中国語対応のサイトを展開しているところも。海外の方にも正しいお薬の使い方を伝えるべきという方針のメーカーもきちんとあります。
日本のお薬だからといって、使用者が日本人だけに限られない現在、添付文書に英語や中国語での説明を加えるといった配慮が今後必要になってくるのではないでしょうか。
まとめ
勤怠管理の不正や、医薬品の大量販売、医薬品の正しい使い方の説明と私たちの生活にはまだまだ改善すべき点がいくつも目の前に溢れています。
薬剤師として、また1人の社会人として看過できない問題が日常的に起きているのです。ニュースにはならないまでも、きっと職場で気になることがある方も多いことでしょう。
薬剤師が薬剤師として、お薬を使われる方の安全を守っていくためには、勤怠管理の不正処理に対して声を挙げた女性のように、何かアクションを起こすことが必要となってくるのかもしれません。
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