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週休3日制のメリットとデメリット【専門家が解説】導入企業の社員223人に本音アンケート調査
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一部の企業で導入され始めている「週休3日制」。週に3日休めるのはいいけれど、仕事や給与はどうなるのでしょう?
そこで、週休3日制を導入している企業の社員223人に、実際に週3日休めているのか、休んでみてよかった点と悪化した点などを調査しまとめました。
また、週休3日制の意味や企業側の意図、週休3日制で働くメリット・デメリット、注意点などについて、株式会社人材研究所代表で組織人事コンサルタントの曽和利光さんに伺いました。
話を聞いた人
株式会社人材研究所
代表取締役社長
曽和利光(そわ としみつ)
1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。
『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)、『部下を育てる上司が絶対に使わない残念な言葉30』(WAVE出版)、『シン報連相~一流企業で学んだ、地味だけど世界一簡単な「人を動かす力」』(クロスメディア・パブリッシング)など著書多数。
取材・ライティング
伊藤理子(いとう りこ)
フリーエディター・ライター。経済専門紙記者、日経ホーム出版社(現・日経BP)編集、金融情報記者、リクルート「週刊B-ing」「リクナビNEXT」編集などを経て、フリーに。Webサイトや情報誌などで仕事、キャリア、ビジネス、教育分野などのテーマを中心に取材・執筆活動を行う。
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この記事の目次
週休3日制とは?
週休3日制とは、1週間あたりの労働日数を減らし、休日を3日設ける制度のこと。
日本企業では、長らく週休2日制が一般的でした。しかし、2021年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」の中に「選択的週休3日制の推進」が盛り込まれたことなどを機に、注目度が高まりました。
近年進んでいる働き方の多様化もあり、「働き方の柔軟性を高め、ワーク・ライフ・バランスにつながる施策」として、週休3日制を導入したり、注目・検討する企業や団体が増えています。
週休3日制の3つのタイプと導入企業の例
現在、週休3日制を導入している企業の多くは、週休3日を義務化するのではなく、社員自身の希望に合わせた「選択的週休3日制」を取り入れています。
厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」によると、選択的週休3日制は大きく分けて以下の3つのタイプがあります。
※出典:厚生労働省:働き方・休み方改善ポータルサイト「選択的週休3日制導入事例の紹介」より
タイプ1. 休みが増えた分1日の労働時間が増え、給与は維持
導入企業 | ファーストリテイリングやリクルート、佐川急便など |
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タイプ1の場合、休日は増えますが1日あたりの労働時間が増えるため、どうしても疲労度合いが高くなり、生産性が低下する懸念はあります。
例えば週休2日のときは1日8時間勤務だった場合、週休3日だと1日10時間勤務と2時間増えることになるため、健康管理もこれまで以上に必要になるでしょう。
タイプ2. 休みが増えて総労働時間が減り、それに対応して給与も減る
導入企業 | 日本IBMやみずほフィナンシャルグループなど |
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タイプ2の場合は、休みが増える分、給与が減ることを良しとできるかどうかがポイントです。
タイプ3. 休みが増えても1日の労働時間は変わらず、給与も維持
導入企業 | 日本マイクロソフトなど |
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タイプ3は、これまでと給料などの条件は変わらず休日だけが増えるので、働く個人から見ればうれしいパターンですが、限られた時間の中で成果を挙げるべく、生産性を高める工夫が必要になります。
【導入企業の社員223人にアンケート調査】週休3日制を実施してみた本音を調査
今回は、実際に週休3日制を導入している企業の社員223人にアンケート調査を実施。週休3日制を使ってみてどうだったか、本音を調査してみました。
調査対象:週休3日制を導入している企業の社員223人
調査地域:全国
調査期間:2024年6月24日〜27日
調査主体:ミライトーチ編集部
調査委託先:crestep
実際に週に3日休めている人の割合は85.7%と多数
週休3日制を実際に利用できている人の割合は、「毎週休んでいる」「大体休めている」「たまに休めている」を合わせて85.7%と大多数でした。毎週ではなくても「大体休めている」という人が40.4%と一番多いという結果になりました。
週休3日制になってよかったことランキング
週休3日制になってよかったことの回答で一番多かったのは「プライベートに使える時間が増えた」(120人)でした。半数以上の人がワーク・ライフ・バランスの確かな変化を実感しているようです。
また休みが増えたことで「ストレスが減った」(77人)という回答が2位。3位は「平日休みが取れる」(68人)で、人が少ない日に休めるメリットを感じているようです。
週休3日制になって悪化したことランキング
週休3日制になって悪化したことの回答で一番多かったのは「仕事が詰まって余裕がなくなった」(76人)でした。
これは週休3日制のタイプ1「休みが増えた分1日の労働時間が増える」場合でしょう。
また2位は「給料が減った」(67人)でした。これは週休3日制のタイプ2「休みが増えた分給料が減る」場合と考えられます。
3位は「残業が増えた」(59人)で、これもタイプ1の場合と考えられ、タイプ3「休みだけ増えて労働時間と給料は維持」以外はデメリットを感じている人も多いという結果になりました。
週休3日制の導入前は賛成だったか?結論、これからも続けたいか
導入前、週休3日制に賛成だったかどうか聞いたところ、賛成だった人が67.2%と多数派であることがわかりました。反対派は7.2%と少なく、どちらでもいいという人は25.6%でした。
また「今後も週休3日制を続けたいか」聞いたところ、続けたい人は68.2%とこれもまた多数派。続けたくない人は9.4%と、継続したい人の割合が圧倒的に多いという結果になりました。
デメリットもあるものの、実際に利用してみるとメリットの方が大きいと感じているということかもしれません。
週休3日制を選択するメリット
ビジネスパーソンが週休3日制を選択するメリットをご紹介します。
ワーク・ライフ・バランスが実現できる
ワーク・ライフ・バランスとは、「仕事」と「仕事以外の生活」のバランスを取り、その両方を充実させる働き方、生き方のこと。
休みが増えることで、趣味や学習、家族との時間、地域活動などプライベートを充実させることができ、「プライベートが充実するから仕事でもイキイキ働ける」という相乗効果が期待されます。
子育てや介護、勉強などと両立しやすくなる
休みが増えれば、子育てや介護、勉強などに割く時間も確保しやすくなります。
例えば「週1回、平日に親の通院に付き添わねばならない」という場合も、有給休暇を取らずに対応できるようになるでしょう。
実際、多くの企業が、子育てや介護中の人や大学院で勉強している人など「働く時間に制限のある人」に注目してもらうことで、労働力を確保し人手不足を解消したいとの思いから週休3日制を導入しています。
生産性が向上する
休みが増えた分、限られた時間の中でこれまでどおりの成果を挙げることが求められます。
そのためには、業務フローを見直しムダを省くなど、効率化に注力する必要がありますが、その分、ふだんの業務の生産性そのものが上がることが期待できます。これまで以上にサクサクと効率的に、物事が進められるようになるでしょう。
週休3日制にはデメリットもある
もちろん週休3日制にはデメリットの側面もあります。休みが増えるからと安易に考えず、デメリットも理解したうえで選択することが大切です。
1日あたりの業務負担が大きい
タイプ1の場合、1日あたりの労働時間は長くなります。1日に2時間以上も労働時間が増えれば、当然ながら疲れがたまりますしストレスが増すことも予想されます。
集中力が持続しにくいタイプの人は、「この制度は自分には合わない」と感じるかもしれません。
給与額が減る
タイプ2の場合は、休日が増え労働時間が減りますが、その分給与も下がります。
国税庁の民間給与実態統計調査によると、1997年には467.3万円だった日本人の平均年収は、2022年時点で458万円に減少。コロナ禍での減少から回復しつつあるものの、この25年間で10万円近く減っている状況にあります。
今後、給与額のベースが大幅に上昇するとは考えにくく、週休3日制を選択する前に、これ以上年収が減ることを受け入れられるかどうか、考えることが大切です。
週休3日制を選択する際に注意しておきたいポイント
週休3日制は、多くの場合選択制である以上、デメリットを理解し納得のうえで選択するのであれば、デメリットはないはずです。
ただ、週休3日制で働くうえでは、いくつかの注意しておきたい点があります。以下の項目に留意したうえで、選択することをおすすめします。
これまで以上に報連相を徹底しよう
現時点では、週休3日制はまだ一般的とはいえません。そして多くの場合「選択制」です。
したがって、週休3日制導入企業においても、当面は週休3日制を選ぶのは一部の人であり、その他大勢は週休2日のままという状態が続くと予想されます。
すなわち、「自分が休んでいる間に、他の人は稼働しているケースが多い」ということ。パフォーマンスを維持するためには、自分が休んでいる間に物事がどれだけ進んだのかこまめに確認したり、場合によっては「自分の代わりにこれをやっておいてほしい」などと指示を出したりする必要があるでしょう。
これまで以上に、コミュニケーションを密に取り、まめに報連相を行うことが重要です。
何事も言葉にして伝えよう
そして、コミュニケーションを取ったり、報連相を行う際には「言語化力」がカギとなります。
休みが増えれば、それだけ上司や同僚など仕事関係者との接点が減ります。相手の表情を見て察し合ったり、身振り手振りで表現したりといった非言語的コミュニケーションが減り、これまで当たり前のように行ってきた「あうんの呼吸」「一を聞いて十を知る」ようなこともすべてやりにくくなります。
このような状況下では、何でもかんでも細かいことまで言葉にして伝えないと、意図が伝わらなかったり誤解されてしまったりする恐れがあります。
物事を共有する際にも、同僚や部下に仕事をお願いする際には、「一から十まで言葉にして伝える」ことを心がけましょう。
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