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生命保険会社に勤める医師のことを「保険社医」または単に「社医」と呼びます。臨床から完全に離れてしまうので、「転職先の候補に入れたことがない」という医師もいらっしゃると思います。
しかし「保険社医についてよく知らない」という医師も、意外に多いのではないでしょうか。
さらに「実は、ちょっといいかもしれないと思っている」という医師もいると思います。「必ず午後5時に帰宅できる」「緊急呼び出しなし」「年収もそこそこ」という業務内容は、決して悪い条件とはいえないのではないでしょうか。
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保険社医の仕事内容を3つ紹介
保険社医に関する知識がない医師は「生命保険会社で医師が何をするのか」と感じるでしょう。保険社医の仕事には「診査」「引受査定」「支払査定」の3つがあります。それぞれの業務内容を見てみましょう。
仕事内容1:診査
生命保険は加入者が毎月支払う保険料で成り立っています。加入者が少しずつお金を出し合って、加入者の中にものすごく大きな困難を抱えた人が発生したら、その人に多額のお金をあげるのが保険制度です。
加入者が大きな困難を抱える確率が高い人ばかりになってしまったら、生命保険制度はすぐに破綻します。
そこで、生命保険会社は、加入を希望する人がすぐに大きな困難を抱えないことを確認する必要があります。その確認作業のことを診査といいます。生命保険では、死亡リスクが低い人を加入させる必要があります。
大きな病気を抱えていないか、大きな病気を発症するリスクがないかといった確認は、医療の力を借りるしかありません。そこで保険社医が加入を希望する人と面談して問診や診察を行い、診査をするのです。
仕事内容2:引受査定
保険会社によっては診査を省略することがありますが、引受査定を省略する会社はありません。引受査定も、生命保険への加入を希望する人の健康状態をチェックするという意味では診査と同じです。
ただ引受査定で医師が確認するのは、加入希望者の人間ドック成績表や告知書、健康管理証明書などの「書類」です。告知書とは、過去5年以内の入院や手術の記録や服用している薬を、加入希望者が自ら報告した書類のことです。
仕事内容3:支払査定
生命保険の加入者が亡くなると、保険金の受取人に多額のお金が支払われます。そのため保険金殺人といった事件も起きています。そこで生命保険会社では、加入者が亡くなったときに「死亡診断書」の内容を確認しています。
死亡診断書は、死亡した加入者を看取った病院の勤務医などが書きます。そこで生命保険会社としても、自社の社員である保険社医にこの診断書に不審な点がないかどうかを確認させるというわけです。
保険社医になるために必要な資格
保険社医になるための資格は、医師免許だけです。専門医資格や前職の病院での特別な地位は求められません。ただ生命保険会社によっては、「臨床経験2年以上」といった条件を設けているところもあります。しかしそれにしてもわずか「2年」ですので、「ほぼすべての医師が保険社医になることができる」といい切って間違いないでしょう。
保険社医の年収の相場
保険社医の年収について明らかにしている生命保険会社はありませんが、およそ1,200万円から1,500万円といわれています。
1,200万~1,500万円を高いと見るか安いと見るか
生命保険会社には、いわゆる生保レディたちのほかに、文系の大学を卒業したエリート・サラリーパーソンたちも働いています。生命保険会社の一般社員たちから見れば、保険社医の年収1,200万~1,500万円は「とてもうらやましい金額」といえるでしょう。
この点からも、保険社医は社内で「特別な存在」といえます。しかし、医師の目線からこの年収額を眺めると「特段、高いとはいえない」というのが本音ではないでしょうか。
1,500万円は保険社医の年収の「天井」ですので、高いとはいえないどころか「安い」と感じる医師もいるでしょう。
労働の内容の割に好条件といえる年収額
しかし1,200万~1,500万円の年収を「割に合うかどうか」という視点で眺めると、十分「割に合う」といえるのではないでしょうか。臨床現場では、勤務医たちは早朝から夜まで休む間もなく働き詰めです。
勤務医たちは「普通のこと」と考えていると思いますが、当直という名の夜間勤務・深夜勤務をする日に、日勤と同じ時間に出勤して、さらに当直明けに通常通りの日勤業務をする業務形態は「異常」です。
当然のことながら、保険社医にはそのような勤務形態はありません。午前9時出勤、午後5時退勤はほぼ確実に守られます。オンコールもありません。
「費用対効果」ならぬ「労働対年収」を考えれば、1,200万~1,500万円という年収額はかなりの好条件といえるのではないでしょうか。
保険社医に向いている医師
保険社医に向いている医師は、普通の社会人のように働きたい医師であり、臨床に未練がない医師です。
臨床に未練がない医師
臨床に少しでも未練がある医師は、保険社医を長く続けられないかもしれません。病院の勤務医時代は「早くこの緊張から解き放たれたい」と思っていても、いざ臨床から離れると「患者を治したい」という気持ちがむくむくとわいてくるのが医師です。
もし「自分は臨床への未練を断ち切れないかもしれない」と感じるようでしたら、保険社医への転身は考え直したほうがいいかもしれません。 しかし「病院勤務にはほとほと疲れ果てた」という医師であれば、保険社医は別天地に感じることでしょう。
きっと「普通のサラリーパーソンたちは、こんなに自由にプライベートの時間を楽しんでいたのか」と実感できると思います。
サラリーパーソンに徹することができる医師
国内の生命保険会社では、契約を取ってくる生保レディがとてもリスペクトされています。成績優秀者ですと、20代の女性でも軽く年収1,000万円を超えることもあります。
つまり保険社医は社内では「特別な立場」にありますが、社内で最もリスペクトされる存在ではないのです。病院における医師はヒエラルキーのトップですが、生命保険会社内の保険社医は決してトップではありません。このことにプライドを傷つけられる医師は少なくありません。
しかし医師の中には「先生と呼ばれることにこだわらない」という方もいます。また、鋭いビジネス感覚を持つ医師も、最近は増えてきました。ビジネスと割り切れる医師は、保険社医の仕事にすぐになじむことができるでしょう。
サラリーパーソンに徹することができる医師は、保険社医に向いているといえるでしょう。
求人数が少ない保険社医への転職を考えるなら
「保険社医という選択肢も『あり』だな」と感じた医師は、ぜひ転職支援サイトをのぞいてみてください。そこには保険社医の求人票がいくつか載っているはずです。
いくつか載っている「はず」とあやふやな表現をしたのは、保険社医の求人数がとても少ないからです。
そこで保険社医に興味を持った医師は、医師専用の転職支援企業のコンサルタントの利用をおすすめします。転職コンサルタントたちは、サイトに掲載されていない求人情報をたくさん保有しています。
さらに転職コンサルタントにコンタクトを取っておけば、「保険社医の求人票が出たらすぐに知らせてほしい」という依頼をすることもできます。求人数が少ない保険社医への転身は、転職コンサルタントの力を借りたほうが安全です。
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