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某テレビドラマの影響で、フライトドクターが一躍話題となりました。
空から駆けつける救急医療に、思わず「かっこいい…!」と感じてしまった医師も少なくないのではないでしょうか。
そんなフライトドクターの、意外と知られていない「なる方法」とその仕事について詳しく解説します。
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この記事の目次
フライトドクターのおもな仕事内容とは
フライトドクターは救急医であることには変わりありませんので、仕事としては急病、外傷、中毒などに対し、速やかに初期診療を行い、適切な診療科の医師にバトンタッチすることです。
フライトドクターと他の救急医と異なる点は、ヘリコプターに乗って事故現場に行くことと、事故現場で治療をすることの2点です。
空を飛んでいないときは病院内の救急医
出動命令が出ていないフライトドクターは、病院内で他の救急医と一緒に救急患者の治療にあたっています。
出動要請がかかると、病院業務の手を止めてヘリコプターに搭乗するのです。
そのため、病院の救命救急センターの中で、フライトドクターだけがフライトスーツを着ながら仕事をしています。
ドクターヘリは消防の要請でしか飛ばない
救急車は、事故を起こした人や事故を目撃した人が119番に電話をして呼びますが、フライトドクターを乗せたドクターヘリは、一般の人が呼ぶことはできません。
全国すべてのドクターヘリは、消防本部指令室の要請でしか出動しません。
「事故現場の人→119番通報→消防本部指令室がドクターヘリを要請」という流れです。
フライト時間は8時30分~17時
ドクターヘリは一年中飛びますが、運航時間は8時30分ごろから日没までとなっています。例えば福島県のドクターヘリは、午前8時30分から17時までで、5、6、7月だけは18時まで飛びます。
17時前に日没となる場合は日没前まで。ただし、基地病院の判断により、患者の重症度や日没時間等を考慮し、状況に応じて対応します。
よってフライトドクターも、フライトドクターとしての勤務では夜勤や当直はありません。フライトドクターが病院内での当直に入るかどうかは、ドクターヘリを運用している病院によって異なります。
また悪天候や視界不良のときはフライトしません。
現場ではぎりぎりの状態で診療を行う
ヘリコプターにはフライトドクター、フライトナース、パイロット(機長)、整備士の4人が搭乗します。わずか4名ですが、ヘリコプターの内部は狭いのでかなり窮屈です。
さらに現場に到着した後は、患者を1~2名乗せて飛ぶことになるので、患者用の空間も必要になります。
つまり、医療機器や医療器具、医材料は最低限のものしか積むことができません。
フライトドクターとフライトナースは、事故現場という「病院の外」で、しかも「限られた医療資源だけ」で医療を行わなければならないのです。
しかも超短時間で処置しなければなりません。
また、ヘリコプターは大きな騒音を立てますし、飛行中は大きく揺れたり、揺れないときでも小さな振動が絶えず起きているので、聴診器や医療機器は使えません。
まさにぎりぎりの条件の中で、細く切れやすい糸をたぐるように治療することになります。
終了後にも重要な仕事
ドクターヘリの出動は、1日複数回に及ぶことが珍しくありません。1日7回出動した例も報告されています。
そこでドクターヘリが病院に戻ってきたら、フライトドクターはすぐに使った医材料をクラークに伝えます。医材料を補充しておくためです。
ヘリコプターの整備スタッフも、帰還後はヘリコプターにすぐに給油します。
ドクターヘリは1秒でも早く現場に到着しなければならないので、常に1秒でも早く飛び立てる準備をしておかなければならないのです。
フライトドクターの年収は意外と普通?
フライトドクターは原則、大規模病院に勤務することになるので、基本給は勤務先病院の他の医師と変わりません。
大規模病院は賃金テーブルがしっかりしているので、卒業年次や役職によって給料が変わるくらいで、診療科や治療内容によって賃金額が変動することはないでしょう。
ただ病院によってはフライトドクターに危険手当が出るので、その分、地上の救急医療のみを担当している医師よりは高くなることがあります。
フライトドクターになりたい!と思ったらまずやるべきこと
法律上は医師免許さえ持っていれば、フライトドクターになることができます。ただ、日本救急医学会認定の救急科専門医の資格を取っておく必要はあるでしょう。
おおよそですが、医師免許を取得してからフライトドクターになるまで、最低でも10年近くかかります。
後期研修ではドクターヘリのある病院を選ぶ
医師免許を取得し2年間の初期研修を終えて、後期研修または専攻医研修を受けるタイミングでドクターヘリを運用している病院の救急科を選ぶと、フライトドクターになるまでの期間を少しでも短縮できます。
救急科専門医を取得するには、3年以上同学会の学会員であること、5年以上の臨床経験があること、専門医指定施設で救急部門の専従医として3年以上働いていることが条件になります。
初期研修でも救急部門で専従していた期間は加算されますので、救急科専門医の資格を取るだけでも医学部卒業から5~6年は必要になります。
フライトドクターの研修
救急科の場合、後期研修(専攻医研修)は3年の場合が多いようです。内容はおおむね次のとおりです。
1年目 | 診療病院前(プレホスピタル)救急医療と病院内救急医療を知る |
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2年目 | メディカルコントロール体制下での指示を、指導医とともに行うことができるようになる |
3年目 | ドクターカーやドクターヘリによる診療病院前診療体制を学ぶ |
ここからわかることは、フライトドクターについて学ぶ機会は、専攻医研修のカリキュラムの中の1つのプログラムであるということです。
専攻医研修ではこのほかにも、急病、外傷、中毒などへの初期診療や、救急医療から専門医への引き継ぎ、トリアージ、重症患者への集中治療、災害医療現場での指導など、習得する事柄は多岐に及びます。
また、診療病院前(プレホスピタル)救急医療では、事故現場にいる患者はどの臓器が障害されているか事前にはわからないこともあります。
ですので救急科の専攻医研修では、すべての臓器についてまんべんなく学ぶことになります。
横浜労災病院でのフライトドクターへの道
それでは次に、年間約2万7千人の救急患者を受け入れている横浜労災病院(神奈川県横浜市)の救命救急センターの救急科専門医研修プログラムを見てみましょう。
同センターでは救急診療のOJTに加え、ドクターヘリ基幹病院での研修があります。
フライトドクター研修は、ドクターヘリを運用している山口大学高度救命救急センターまたは秋田赤十字病院救命救急センターで、6ヵ月以上も行われます。
この研修では、ドクターヘリだけでなく、ドクターカーやメディカルコントロールも学び、総合的な診療病院前救急医療を修得することができます。
その他、クリティカルケア、心肺蘇生法、救急心血管治療、ショック患者や重症患者に対する救急手技と処置も学びます。
また、ドクターヘリで出動した後は、「全症例カンファレンス」を開き、搬送後の患者の容態や、フライトドクターから患者を引き継ぐことになる診療科の医師たちから意見を聞く機会もあります。
「研修」ではありますが給与も支払われます。
基本給は月額、卒後3年目が37万円、4年目が38万円、5年目が39万円です。そのほか時間外手当も支給されます。
フライトドクターになるのが難しいのはなぜ?
フライトドクターになることは、簡単ではありません。それはスキルの獲得が難しいだけでなく、求人が少ないからです。
わずか「150人の職場」
ドクターヘリは2024年2月時点で、全国47の都道府県*に57機しかありません。
47都道府県にはドクターヘリを運営している関西広域連合に属する京都府を含みますが、京都府には基地病院はありません。
ドクターヘリには原則、1名の医師しか乗ることができません。交代要員は必要ですので、仮に1機のヘリコプターに乗ることがある医師が3名いたとしても、定員は170人ほどにしかなりません。
元警察庁長官や大学医学部の名誉教授たちでつくる認定NPO法人救急ヘリ病院ネットワークは、理想としては国内に60ヵ所のドクターヘリ拠点と、80機のドクターヘリが必要であると主張しています。
ちなみに日本より地震の心配が小さく、国土も狭いドイツでは約80ヵ所のドクターヘリの拠点があります。
いずれにしましても、フライトドクターへの道は険しいうえにとても狭いといえるでしょう。
フライトドクターになるための情報をもっと知りたいなら
険しくても狭くても、フライトドクターになりたいという医師は、まずは情報収集から始めましょう。
希少な情報を集めたいならコンサルタントに相談
医師の転職情報は通常の病院転職でも限られた範囲でしか入手できませんが、その中でもフライトドクターに関するものは特にレアな情報なので、アンテナをしっかり張っておく必要があります。
そのアンテナのひとつには、必ず転職支援サイトのコンサルタントも含めておいてください。転職コンサルタントは、単に転職先を紹介するだけでなく、「情報提供者」としての機能も有しています。
「フライトドクターの仕事に就けるのであれば転地もやぶさかではない」という強い気持ちを持っている医師はなおさらです。
遠隔地の「的確な」転職情報を入手する手段は、コンサルタント経由に限られるといっても過言ではないかもしれません。
全国にネットワークを持っている、確かな転職支援会社の支援を受けてください。
ミライトーチMediaとは
転職やキャリアに関わるコンテンツを通じ、「今の仕事に悩む人」がより自分らしく働けるようにサポートしているメディアです。
不安のない転職活動や理想の転職先探しに役立ててもらうため、転職者や人材業界関係者へのインタビュー調査はもちろん、厚生労働省などの公的データに基づいたリアルで正しい情報を発信し続けています。
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